Mozillaの「Firefox」ブラウザは、世界で22.51%もの市場シェアを獲得するに至っているが、いまだに企業のIT事業部という壁を打ち破るのには苦戦している。Firefoxが、幅広い企業でも活用されていることに、疑問の余地はないものの、依然として、多くの企業のIT事業部では、「Internet Explorer」(IE)こそが、デフォルトのブラウザに設定されている。その1つの理由としては、Mozillaが、企業のIT事業を含め、何らかの特定の市場に焦点を絞ることはしてこなかった点が挙げられる。
だが、それはもう過去の話である。おそらくはFirefoxで企業のIT事業部をサポートして導入を進められるようにするツールが用意されていないとの批判に応じるため、Mozillaはついに、新たな「Build Your Own Browser」プログラムの提供を開始した。FirefoxのディレクターであるMike Beltzner氏は、同プログラムが「複数の企業内のデスクトップに簡単にインストール可能な、カスタマイズされたブラウザを用意したい企業にとっては最適なものとなるだろう」と語った。
これは、良いニュースである。企業内でGoogleの活用度を上げるべく、「Google Chrome」の影響力が増すことに期待している人も少なくはないものの、結局のところ、機能性および安定性こそが企業のITプロフェッショナルから最も求められている点である。MozillaのBuild Your Own Browserプログラムは、この分野におけるITプロフェッショナルからの要求に応じるべく用意されるに至っている。
同プログラムは次のような仕組みになっている。まず、ITプロフェッショナルは、たとえば、会社のサイトをデフォルトのブックマークにするなど、さまざまな分野でのブラウザのカスタマイズを、Mozillaが提供するウェブアプリケーションを用いて進める。これには、Mozillaの「Personas」テクノロジなどを活用しながら、会社独自のブランド戦略を展開することも含まれるだろう。その後、同アプリケーションでは、オリジナルのインストールプログラムが用意され、社内全体でブラウザの一斉導入が可能となる。
これは、Mozillaが企業のコンピューティング分野へと進出する、興味深い展開である。しかしながら、そもそも同プログラムによって、IE離れが進むことになるのかどうかには疑わしいところもある。すでにこの傾向は、こうした企業向けのツールの提供の有無にかかわらず、実際に生じているからだ。IEが、毎年5%の市場シェアを失っているのに対し、MozillaのFirefoxは、毎年5%のシェアを伸ばしている。これにより、IEとFirefoxへ両対応したソフトウェアを用意するアプリケーション開発者が、まずます増加の一途をたどっている。
そして、この傾向は、今後も加速していくと考えられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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