「スター・トレック」最新作のテクノロジ--制作者たちの「リアルさ」へのこだわり

文:Daniel Terdiman(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年05月21日 07時30分

 サンフランシスコ発--新作映画「スター・トレック」でアニメーションスーパーバイザーを務めたPaul Kavanagh氏にとって、この作品で用いたある技術要素は特に手腕を問われるものだった。

 監督のJ.J. Abrams氏は実写シーンの撮影中、一風変わったことをした。Abrams氏は、手持ち撮影の不安定な効果を組み込もうとして、頻繁にカメラの後ろに座り、指で実際にカメラの背面を軽くたたいたのだ。しかし「スター・トレック」は、コンピュータグラフィックス(CG)満載の作品であり、Kavanagh氏にとって、完全にデジタルのシークエンスでも、その指でたたく効果を再現する方法を見つけることが、絶対に必要だった。Kavanagh氏は、そうしないと映像に矛盾が生じ、観客を混乱させるおそれがあったと述べている。

 Kavanagh氏は勤務するIndustrial Light & Magic(ILM)に戻って、この問題を解決する方法をいくつか考えた。ILMのモーションキャプチャ部に話して、3Dのモーションキャプチャカメラやテクニックを多数見せてもらったが、それらの方法は時間も費用もかかり過ぎると感じた。

 だが、モーションキャプチャ部には、シンプルで低コストの別のテクノロジがあった。それは、方位センサというもので、USBでコンピュータに簡単に接続でき、動きを記録できる。そこで、Kavanagh氏と同氏のアニメーションチームは、CGカメラ(実際のレンズを組み込んだオンスクリーンのカメラビューア)でシーンを撮影しながら机を軽くたたいて、方位センサで撮った動きを下に重ねると、Abrams氏が実写シーンの撮影で用いたのと同じ効果が得られることが分かった。

 Kavanagh氏は「われわれのところに来たJ.J.は、このやり方を大変気に入った」と振り返る。「彼はどうしても手持ちカメラで撮ったのと同じように見せたかった。(われわれがとった方法に)とても驚いていた。彼はショットに含まれたその様子をとても気に入った」(Kavanagh氏)

ILMの視覚効果およびアニメーションチームは、映画「スター・トレック」を現実的かつ旧作に忠実に仕上げるため、いくつもの業界最新の技術を使う必要があった。最大の課題の1つには、エンタープライズ号を2009年向けにアップデートする作業があった。 ILMの視覚効果およびアニメーションチームは、映画「スター・トレック」を現実的かつ旧作に忠実に仕上げるため、いくつもの業界最新の技術を使う必要があった。最大の課題の1つには、エンタープライズ号を2009年向けにアップデートする作業があった。
提供:Industrial Light & Magic

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]