パナソニックは5月15日、2009年3月期(2008年4月〜2009年3月)の連結決算を発表した。売上高は7兆7655億円、営業利益は729億円を確保したものの、純利益は3790億円の赤字となった。
売上高で減少が大きかったのはBtoB関連としており、景気後退や円高の影響からカーエレクトロニクス、電子部品などが大きく落ち込んだという。
代表取締役社長の大坪文雄氏は「未曾有の世界同時不況と市場の構造変化が起こった2008年度は、当社の構造課題が浮き彫りになった。2009年度は2008年度から先行して実施している『思い切った構造改革』と『次なる成長への仕掛け』をする年と位置づけている」と述べた。
具体的には、薄型テレビ事業において、販売台数を2008年度の1005万台から1550万台へと拡大させるとのこと。商品力強化においては家庭で再現できる3Dテレビの展開を考えていることも明らかにした。
「残念ながら2009年度の事業計画では若干赤字が残るというのが事実。しかし薄型テレビは今年、来年、再来年とどのデータを見ても2500〜3000万台近い伸びが見込まれる。それに対して、テレビメーカー各社はそれほど増やす計画を立てていない。逆に考えればチャンスだと思っている。(2009年度の販売目標である)1550万台をきっちりやりきれば、収益が見えてくる。2009年度に歯を食いしばってがんばれば2010年度以降が見えてくると思う」(大坪氏)と2010年以降への期待を語った。
また、戦略の1つとして挙げられた「ボリュームゾーンへの攻略」に関しては、「ボリュームゾーンといっても安物といういうわけではない。大事なことは消費者がほしいと思われる商品をボリュームゾーンとして提供していくこと。ボリュームゾーンに正面から挑まないと成長は見込めない」とし、今後の商品展開については「最先端の商品をやめるわけではなく、商品のダイナミックレンジをもっと広くして考えるべきではないか」(大坪氏)と続けた。
海外に関してはBRICs+ベトナムの新興国市場の開拓を掲げ、同地域で2ケタ成長を必達としたほか、インドネシア、メキシコ、ナイジェリアなど次なる新興国攻略を本格化するという。冷蔵庫、洗濯機においては、すでに欧州での発売を3月にスタート。9月までには17カ国へ展開する予定とした。
こうした施策を打ち出した上で発表された2010年3月期(2009年4月〜2010年3月)の業績見通しは、売上高が7兆円、営業利益が750億円、当期純利益がマイナス1950億円とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」