シャープ、2009年度決算--「厳しい内容となったが、来期は経済政策が追い風に」

加納恵(編集部)2009年04月27日 20時57分

 シャープは4月27日、2009年3月期(2008年4月1日から2009年3月31日)の決算を発表した。2008年後半の世界的な金融危機を受け、売上高は2兆8470億円、営業利益はマイナス550億円となった。

 同社では去る4月8日に、代表取締役社長の片山幹雄氏出席の下、経営戦略説明会を開催。その会場にて、業績の下方修正を発表しており、今回の決算はその時と同様の内容となった。

 対前年比83%の2兆8470億円となった売上高では、液晶テレビの単価ダウン、携帯電話の国内市場低迷などを要因としており、エレクトロニクス機器の売上高は同81.4%の1兆3222億円となった。また、健康・環境機器では、空気清浄機や掃除機などでヒットモデルが出たもののエアコン、電子レンジなどが落ち込み、売上高は同90.2%の2252億円に留まった。

 一方、液晶パネルや太陽電池などを有する電子部品等では、液晶パネルの販売が減少。携帯電話市場の減速を受け、CCD、CMOSイメージャといった電子部門の販売も落ち込みを見せた。しかし太陽電池では、国内を中心に伸長し、売上高は同104%の1570億円と伸びを確保した。

代表取締役副社長の濱野稔重氏 代表取締役副社長の濱野稔重氏

 こうした厳しい経済環境の中、代表取締役副社長の濱野稔重氏は「2009年度は、第1四半期にまだ厳しい状況が続くと想定しているが、第2四半期以降は段階的に収益回復を狙う」と2010年3月期(2009年4月1日から2010年3月31日)の通期業績見通しを発表した。

 見通しによると売上高は前年比96.6%の2兆7500億円と予想するが、営業利益は500億円、経常利益は200億円、当期純利益は30億円を確保するとのこと。

 部門別では、買い替えサイクルの長期化により端末需要が低下した携帯電話・通信融合端末市場を同112%の4900億円と予想。「中国や新興国向けに新たなミドルエンドの普及ゾーンを投入、欧米にはスマートフォンを展開し、需要拡大を図っていく」(濱野氏)と海外への積極的な商品展開により、市場を拡大するとした。

 一方国内携帯市場においては「ソーラーパネルを搭載した新しいモデルの展開など、特長端末を導入することでさらなるシェア拡大を狙う」(濱野氏)としている。

 液晶テレビでは、金額ベースで90.5%の6600億円、台数ベースでは前年同様の1000万台の需要を確保すると発表。これに対しては「前年並みの1000万台と保守的に見ているが、2009年下期は上期に対して4割程度の販売増を見込んでいる」と発言。「国内では先般発表されたグリーン家電、エコポイントなどによる需要増が期待できる」と続けた。

 また、太陽電池に関しては現在421MWの販売量を770MWにまで引き上げるとした。「売上高の半分以上を占める欧州は、2008年度下期の後半だけで2割近くの価格下落とユーロの変動により、トータルで4割程度価格が下落するなど、大きく市場が悪化した。しかし足元では為替が落ち着きを見せているほか、材料価格の単価下落も見込まれるなど市場好転の兆しが見られる。国内では住宅用の補助金制度、新たな買い取り制度の導入検討など、需要環境の動きも活発化している」(濱野氏)と、日本の経済対策が追い風になることを強調した。

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