シャープは4月8日、代表取締役社長の片山幹雄氏出席の下、経営戦略説明会を開催した。緊急業績改善対策として液晶工場の再編、新ビジネスモデルとして地産地消を進めるなどの構造改革を発表した。
説明会では、冒頭に2008年度の業績下方修正を発表。それによると2009年3月期(2008年4月1日〜2009年3月31日)通期の連結業績予想は、売上高が前回予想時から500億円マイナスの2兆8500億円に、営業利益がマイナス600億円に、経常利益がマイナス900億円に、当期純利益はマイナス1300億円へと修正された。
下方修正した要因としては、液晶テレビや液晶パネルの流通在庫圧縮、ならびに液晶工場再編に伴う事業構造改革について追加対策を実施したことなどによる、とした。
こうした業績を受け、「2008年の経営環境が続いても、収益が確保できる体制を作る」(片山氏)を目標に、地産地消を実現する新たなビジネスモデルを発表した。
これは日本で製品を製造し、輸出するのではなく、消費するその場所で製品を生産、販売していくというもの。すでに同社ではイタリアの電力会社と組み太陽電池の製造工場を欧州向けに展開。今後もこのビジネスモデルを推し進めるという。
「日本からの輸出は困難という認識に立ち、従来のオペレーションを抜本的に見直した」(片山氏)とのこと。今後は海外でのパートナーを探し、アライアンスを組むことで工場建設などを実施していく。
ただし、堺や亀山などの工場においては、マザー工場という位置づけで製造ノウハウなどを蓄積しながら展開していくとのこと。これとともに、現在三重と天理にある液晶工場の一部を閉鎖することも明らかにした。
主要事業である携帯電話、健康・環堺、LED照明・ソーラー応用商品、太陽光電池、液晶に関しては、2009年10月に大阪府堺市の液晶パネル新工場を前倒し稼働させることをはじめ、新たな取り組みを発表した。
中でも、太陽光発電に関しては、日本、米国の両市場で大きな成長を期待しているとし、結晶太陽電池と薄膜太陽電池の両輪体制を構築していく方針だ。
また、健康・環堺関連事業では、AV商品で培ったスパイラル戦略を採用し、特長ある商品を投入していくという。
市場環境が厳しいとされる携帯電話事業については「国内市場は思った以上に小さくなってしまった。市場シェアは少しずつ戻ってきているが、2009年はそれほど期待できないだろうと考えている。買い替えもそれほどしないのではないかという今こそ、特長商品を投入していかなければいけない」(片山氏)と積極的な姿勢を見せる。
一方、海外市場については、スタンダードモデルが順調に推移している中国市場に、ハイエンドモデルを投入し市場拡大を狙うこと、米国に続き欧州についてもスマートフォンを導入することなどを今後の取り組みとして掲げた。
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