Disneyは、YouTubeに短編動画を掲載することで合意した。ESPNのスポーツ番組やABCの「Gray's Anatomy」をノーカットで見たいと考えていた人は、この合意に少しがっかりしているかもしれない。
しかし、落胆するのはまだ早い。これをきっかけに、今後さらに大きなプロジェクトに発展する可能性もある。
Disneyは米国時間3月30日、「ESPNやDisney-ABC Television Groupの短編コンテンツを扱う複数の広告付きチャンネル」を(YouTube上に)立ち上げると発表した。DisneyはYouTubeとの契約条件に基づき、コンテンツに挿入する広告をDisney自ら販売することも可能だ。ディズニーのコンテンツは4月中にYouTube上で配信が開始される。
このニュースを伝えたのは、ニュースブログのpaidContent.org。同ブログのStaci Kramer氏によると、YouTubeとDisneyは長編コンテンツについても話し合っているが、まだ合意に達していないという。NBC UniversalとNews Corpが共同で立ち上げたビデオポータルHuluもDisneyのコンテンツ獲得を目指している。
興味深いのは、仮にYouTubeとDisneyとの長編コンテンツ契約がまとまれば、HuluがDisneyの長編番組を獲得する機会が失われる点だ、とpaidContent.orgは指摘している。
CNETは2008年暮れに、YouTubeはハリウッドにおいて「著作権で保護されたコンテンツの敵」という悪いイメージからの脱却に成功し、今や長編コンテンツの入手も可能な立場にあると伝えた。実際、米映画会社MGMはすでにYouTube上に少数ながらも長編映画を掲載し始めている。
Disneyとの短編コンテンツ契約に関しては、ESPNやABCの専門チャンネルの開設が大きなメリットになるか否かは定かでない。Disneyの競合他社の多くは、すでにYouTube上で独自のチャンネルを運営している。今回のDisneyとの合意はYouTubeにとってむしろ、試金石としての意味合いを色濃く持つことになりそうだ。YouTubeは、Huluのような長編映画やテレビ番組のプラットフォームになりたいと考えているが、大手映画製作会社やテレビ局に逃げられてしまったら、その希望の実現は困難になる。最近、大手エンターテインメント複合企業がケーブル企業から、オンライン上に掲載する広告付きコンテンツの量を減らすよう圧力をかけられているのか否かについてマスコミで頻繁に取り上げられている。
ケーブル各社は、今回のDisneyとYouTubeの合意はケーブルテレビの加入者減につながると指摘する。
また、テレビ局や映画製作会社の幹部らのもう1つの懸念は、視聴者がコマーシャルの多さにうんざりするのを回避しながら、ウェブ広告から十分な利益を生み出せるのかという点だ。
また映画製作会社の間では、YouTubeに長編映画を海賊行為から守る能力があるのか懸念する声も上がっている。あるエンターテインメント業界筋によると、一部の映画製作会社の首脳は、YouTubeにビデオストリームのコピー防止機能が全くない点を憂慮しているという。しかし、その情報筋は、デジタル著作権管理(DRM)の問題が解決すれば、YouTubeは「Huluのような動画サイトの真のライバルになる」とも指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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