AmazonがライバルのAppleより安い価格でデジタル音楽の販売を始めて以来、「iTunes」愛用者の多くは、音楽業界がAmazonと手を組んだのではないかという疑いを抱いている。
われわれは米国時間1月5日の記事で、AppleがMacworldで、今後はコピー防止ソフトウェアを廃止し、価格設定を変更するという発表を行うと伝えた。その記事に対するコメント欄で、多くのiTunes愛用者が、4大レコード会社がAmazonに価格破壊を許しているという、これまでも幾度となく繰り返されてきた主張を書き込んでいる。
交渉に詳しい音楽業界消息筋2人によると、この主張は間違っているという。
始まったばかりのAmazonの音楽サービスが、市場を支配するAppleに対抗できるよう、レコード会社が支援しているのではないかという疑いが長い間続いている。レコード会社はiTunesに替わるサービスが出現し、デジタル楽曲販売におけるAppleの支配力が弱まることを期待しているというのだ。だが消息筋の話では、実際にはAmazonやWal-Martをはじめとするダウンロード販売業者は皆、Appleと同じ価格で楽曲を仕入れているという。
「レコード会社が設定した額を支払えば、小売業者は自身が決めた価格で楽曲を販売することができる」と消息筋の1人は言う。
つまり、AmazonがこれまでのAppleの標準価格99セントより10セント安い価格で多くの楽曲を提供しているのは、おそらく音楽販売においては利益を削ることを選んだ結果だろう、と情報筋は続ける。一般に、Appleの利幅は1曲あたり数セントにすぎないと考えられている。
Amazonの動機は明らかだ。Amazonが闘っている相手は、米国最大の音楽小売業者であり、最も売れている音楽プレーヤーを扱うメーカーなのだ。Amazonには競争における優位性が必要だ。
ここに来て、優位性を見いだすことが難しくなってきている。Appleは6日、楽曲からデジタル著作権管理(DRM)を外し、より柔軟な価格設定を行うと発表した。旧作のカタログタイトルを値下げし、69セントで販売することなども含まれる。これは競合他社、特にAmazonにとっては悪い知らせだ。Amazon関係者はインタビューの申し入れに応じなかった。
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