UPDATE デジタル著作権管理(DRM)に対しては、レコードレーベル各社がコピー対策スキーマに縛られない楽曲を販売すれば売上低迷は大きく改善できる、との批判意見が以前からあった。
AppleのiTunesとオンライン小売業者Amazon.comは、この仮説を数カ月かけて試せる立場にある。Amazonは米国時間5月16日、レコードレーベルのEMI Groupが保有するDRMフリーのデジタル楽曲を販売する計画を発表した。AmazonのDRMフリーの楽曲は同社がまもなく開設するダウンロードストアで販売され、Appleの「iPod」やMicrosoftの「Zune」をはじめ、さまざまなポータブルミュージックプレーヤーで再生できる。AppleはAmazonの発表に先立ち、EMIが保有するDRMフリーの楽曲発売を4月発表していた。
過去最大規模の売上げ低迷にあえぐ音楽業界は、AmazonとAppleの動向を注視している。もし両社が多数の楽曲を販売することに成功すれば、それにより、ほかの主要レーベル3社が保有曲からのDRM削除に納得する可能性がある。ただ、もし販売が思わしくなければ、レーベル各社が楽曲のコピー対策を強化してくる可能性もあると、業界の事情通は話す。
あるレコード会社の匿名希望の幹部は、「業界による何らかのコントロールを実現したのはDRMだけだ」と語っている。
Jupiter ResearchのアナリストDavid Card氏によると、四大メジャーレーベルのうちのたった1社の楽曲を販売するだけで何かを立証するのはAmazonやAppleには難しいだろうという。
Card氏は、「Amazonはこの(DRMフリー楽曲)戦略の大きな味方になる。DRMからの脱皮にはこれで十分なのか、という疑問に対する答えはまだ分からない。膨大な売上がなければ他社は参入してこない」と語っている。
Warner Music Group、Universal Music Group、およびソニーBMGの関係者はコメントを控えている。
従来のCDの売上は急落している。業界の調査によると、2007年のアルバムの売上はこれまでに17%低下しているという。市場調査会社Ipsos Insight(本社:イリノイ州シカゴ)は先ごろ、過去6カ月以内にCDを購入した米国消費者の数が2002年比で15%低下したとする調査結果を発表した。音楽業界は、楽曲のダウンロード販売が低下分を埋め合わせてくれることを心待ちにしているが、それはまだ実現していない。
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