筆者はここ最近、iTunesがDRMフリーの楽曲や無線(Over-The-Air:OTA)ダウンロードを顧客に提供しないため、iTunesに厳しい目を向けていた。しかし、ほかのオンラインストアで音楽を購入する理由も急激になくなってきている。
Amazonは2007年9月に「AmazonMP3」ストアを開始し、利用者がもっと安い価格で、より高品質なDRMフリーの楽曲を購入できるという事実を強調しようとしていたが、今となってはどうだろうか。
2009年1月6日、iTunesはヒット曲の価格を30セント値上げして1.29ドルとした一方で、カタログタイトルは30セント値下げした。ヒット曲よりもカタログタイトルに分類される楽曲の方が圧倒的に多いため、今やAppleは、iTunesのほとんどの楽曲はAmazonより安いと主張することが可能だ。
「iTunes Plus」では、Amazonと同品質のビットレート256kbpsのDRMフリー楽曲を購入することができる。さらにAppleは一歩進んで、以前に購入した楽曲ライブラリからもDRMを外せるようにした。ただし1曲あたり30セントかかる。
現実を見てみると、DRMフリー楽曲の提供や10セント安い価格がいずれにしても競争上の優位性であるとする根拠は乏しい。
NPD GroupのシニアインダストリアナリストであるRuss Crupnick氏は、次のように指摘する。「このダビデとゴリアテの物語は少しばかり大げさだった。ここ1年Amazonの動きを追う中で見えてきたのは、両社(AmazonとApple)の顧客はほとんど重複していないということだ。AmazonがAppleの事業に食い込んで顧客を奪ったとする証拠はないに等しい」
つまり、iTunesに対抗するには、小売業者は楽曲の値下げだけに頼らず、それ以上のものを提供していかなければならないだろう、とCrupnick氏は言う。
「これまでのところ、価格は問題の核心ではない。実際、AppleとAmazonは両社とも適正な価格を提示している。Appleは固定客をしっかりとつかんでおり、固定客は『iPod』とiTunesを利用している。iTunesで音楽を購入していない人でさえ、ライブラリを管理するためにiTunesを使う。分析によると、Akon(R&Bシンガー)の最新シングルを聴きたい人にとって、1トラックに1.29ドル出すことにはあまり抵抗がないようだ。低価格の楽曲については、Appleはバンドルやパッケージに力を入れることが可能だ」(Crupnick氏)
「言い方を換えれば」とCrupnick氏は続ける。「10セントの差が違いを生むのであれば、1年前にもっと多くの利用者がAmazonに流れただろう」
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