ベンチャー企業を取り巻く環境は「激変」--2008年の新規上場マーケット

 2008年は株式公開を目指すベンチャー企業にとって、非常に厳しい1年となった。2008年に株式公開した企業は49社と、2007年の122社から大幅に減少。2006年に188社、2005年も158社が株式公開していたことを考慮すれば、ベンチャー企業を取り巻く環境が激変し、ひとつの時代が終わったと言っても過言ではないはずだ。

 上場企業数が大幅に減ったことには、複数の要因がある。ひとつは上場審査の厳格化。2005年、2006年は上場企業を大量生産したが、その2005年、2006年株式公開組の不祥事が2007年以降、相次いで表面化していた。上場企業はもちろん、企業を審査する証券会社や証券取引所への批判の声が強まっていた。未熟な企業までも無理やり株式公開させてきたツケで、新興市場を好んできた個人投資家は痛み、そして市場から去っていった。

 2005年、2006年の「大公開時代」を経て、株式公開に至るような有力ベンチャー企業が少なくなってきたことも挙げられる。株式市場の低迷により、期待通りの資金調達がしにくくなっていることも大きな要因だと言われている。スケジュール的には、2009年からの株券電子化を控え、コスト削減か図れる2009年以降に株式公開を先送りした企業も多かったようだ。

 2008年に株式公開した49社は、厳しい審査を受けてきた優良企業が多いとも言われているが、サブプライムローン問題に端を発した国際金融市場の混乱、急速な景気悪化を受けて株式公開後に急速に業績を悪化させた企業も少なくない。特に不動産関連銘柄にその傾向が顕著。2月27日に東証2部へ株式公開したモリモトは、なんと上場から9カ月で民事再生法を申請。事実上の経営破たんとなった。また、8月にジャスダックへ上場したアスコットも、株式公開直後の業績計画下方修正と、継続企業の前提に疑義の注記が付いている。

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