「当面は、大企業がすべての情報をクラウドに移行するとは思わない。サイバー犯罪のターゲットとしてあまりに魅力的だからだ」(Ellington氏)
しかし、企業が現在評価しなければならないのは、他社が自社のデータを保持できるようにすることがいいことかどうかという理論だけではない。現実的には、多くの場合、第三者である大手企業の方が、中規模企業が自社で行えるよりももっと、企業のデータを守るための対策を講じることができるかもしれない。
「企業は『非現実的な理想ではなく、現実的な選択肢と比較しよう』と言うようになっている」(O'Kelly氏)
さらに、Windows Azureはまだコミュニティープレビューの段階にあり、企業には、実際に業務に不可欠なアプリケーションをホストする前に検討を行う時間がある。
Eラーニングのソフトウェア管理サービスを提供しているOperitel Corp.のソリューションアーキテクトであるTroy Farrell氏は、「ほかのホスティング会社に料金を支払うのとまったく変わりない。一部の人たちが心底、Microsoftに不信感を抱いているのは、その規模のためであり、一部の人たちが、『Google Apps』などのサービスにデータをホストおよび格納しているGoogleに不信感を抱くのと同じようなものだと思う」と述べた。
実際、クラウドコンピューティングでは信頼が問題だと、Ray Ozzie氏は先週初め、CNET Newsに対して語った。しかし、Microsoftは、クラウドコンピューティング、特にGoogleとの競争では、信頼が自社の手助けになるかもしれないと考えている。
「クラウドコンピューティングは、最終的には『彼らのせいで失敗した場合、わたしが会社として失わなければならないよりももっと多くのものを失うことになるが、このプロバイダを信じて大丈夫か』ということだ」と、Ozzie氏はインタビューで語った。Ozzie氏は、投資の規模の面からも、また、自らAzureベースのアプリケーションを構築して、口だけでなく行動で証明するという面からも、Microsoftは信頼を得られる状況にあると述べた。
それでも、企業のクラウドコンピューティングでの動きは、最初はインフラストラクチャのようなもので、ビジネスアプリケーションへの動きは当面はないだろうと、Ozzie氏は述べた。
Microsoftをあまり信頼していない人たちにも選択肢はある。
コンサルタント会社であるTallanで開発者を務めるAlberto Ramirez氏は、「利用者が何をしているかをMicrosoftに見られることは絶対にない」と述べた。情報は「サーバ、クライアントの両側で暗号化できる。単にAzureを通過するだけだ」
また、Microsoftにとって、景気の悪化による制約はプラスになるかもしれない。
「特に今はAzureへの需要がある。IT部門は縮小しているが、AzureにはIT担当者もサーバの設置も不要だ。さらに、セキュリティの面倒も見てもらえる」(Remirez氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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