まるで2つの巨大な氷河のレースを見ているようだ。
YahooとGoogleは、それぞれ多くの機能と膨大な数のユーザーを持っており、現在インターネット上でもっとも大きな力を持った2社であることは間違いないだろう。両社は現在それぞれ、生まれ変わりを図ろうとしているところだが、動きの速い新興企業との対比で、巨大サイトの変革がいかに難しいかが際立っている格好だ。
しかし変革は確実に進行中であり、両社の規模の大きさを考えれば、この変革は、両社にとってだけでなく、数百万のインターネットユーザーにとっても、きわめて大きなものになる。
事実Yahooは、米国時間10月28日に、「Yahoo Open Strategy」(YOS)のバージョン1.0をリリースした。この戦略は、プログラミングインターフェースへの公開アクセスを可能にして、開発者がYahooサイトを基盤としてアプリケーションを構築したり、自身のサイトにYahooの情報を組み込んだりすることができるようにするものだ。インターネットの先駆者でありながら近頃苦境に陥っているYahooは、既存のYahooユーザーの活動を活発化させてサイトに新規ユーザーを集める戦略に賭けようとしている。
同じ日に、Googleは「Gmail」サービスに、ユーザーのカレンダーの表示と、オンラインにあるユーザーの「Google Docs」ファイルの一覧表示、そしてガジェットと呼ばれる小さなウェブアプリケーションの追加が可能になる新しいオプションを追加した。派手な動きとはいえないが、Googleが、中核事業である検索エンジンの運営にとどまらない、多目的インターネットツールの提供に向けた拡大を真剣に考えていることを示す新たな兆候だ。
Googleの動きからは、和やかな雰囲気とは裏腹に、YahooとGoogleがいずれも、人々がインターネットとより密度の濃い関わり方をするための基盤となろうとしていることもわかる。
Yahoo Open Strategyで注目すべき点は、さまざまなYahoo APIを提供して、Yahooとサードパーティーのプログラマーが、Yahooユーザー間の既存の社会的なつながりを利用できるようにしようとしていることだ。それはつまり、サードパーティーアプリケーションがYahooメンバーに認められれば、Yahooサイト、Yahoo上で動くサードパーティーアプリケーション、およびYahooデータを利用したサードパーティーサイトにとって、新しいレベルでの相互関係が実現することを意味する。
YOS 1.0への移行の初期ステップが、Yahooの新しいプロフィールサイトのリリースだ。そのほか、より一層パーソナライズされ詳細なカスタマイズが可能となったYahoo.comフロントページもテストされた。そして、現在ベータテスト中の「Yahoo Messenger」の新バージョンがリリースされれば、ユーザーの連絡相手からの最新情報をいつでも入手できる態勢が整う。
YOS機能は、今後数カ月の間にYahooのその他の資産にも組み込まれる予定だ。大きなものとしては「Yahoo Mail」がある。Yahoo Mailは、Yahooの中核アプリケーションの1つであり、また同社のアプリケーションの中でもっとも社会的な性質を持つものの1つといえる。人々は、多くの場合、ウェブページ上の記事は流し読みするだけであっても、メールには熱心に注意を傾けるからだ。
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