前回記事で、「検索における課題」として5つのポイントをまとめた。これらについて検索パターンを設計する際に発生するステップ (プロセス) をもとに、求められる要素や検索パターン事例と合わせて解説する。
プロセスは次の6つで構成される。それぞれにおいてどういうことが必要になってくるのかを見ていく。
検索に限らず、利用者にはさまざまな種類がある。それらは別の価値観で行動し、違う目的を持つことになるため、それらを整理し価値観を見定めることが重要になる。
では実際に、それらをどのように整理するかという点において「ペルソナ/シナリオ手法」が役立つ。これは単純な大多数を示す平均的なユーザー像ではなく、ユーザー像を特定する方法である。ユーザープロフィールを作り、どういうユーザーなのかをできるだけ細かく設定していき、そのユーザーの利用シーンをシナリオとして作成する。
ペルソナ設定例
そうすることにより、実際の使われ方の細部や心理の変容までをとらえやすくなり、結果として「どういう人にどう使われたいか」を理解することができる。もちろんパターンを分けて整理する過程は必要になるが、このプロセスを経ることでユーザーを特定することができる。
利用者が検索しようと想起した際に思い浮かぶ情報は主に「テキスト」である。多言語を主としていない日本人にとってみればそれはまさしく日本語である。したがって、母国語での入力ができることが第一条件になるが、検索しようとした場合にひらがなか漢字かカタカナかといった固有の問題が含まれる。
これらの問題を解決する方法として、入力したい情報をあらかじめ選択させる方法がある。前回紹介した「Auto Suggest(自動サジェスト機能)」がそれにあたるが、入力の最中でも次の入力候補を表示することができる。こうすることにより、自分が入力する情報を効率よくかつ正しく入力することができる。
また、過去に入力した情報を蓄積し、合わせて選択できるようにすると、不確実な要求を減らすことができる。
検索画面といえば、Googleの検索画面を思い浮かべる人もいればYahoo! のポータル画面を思い浮かべる人もいるだろう。ただ、そこにある検索画面の機能的なものをあげると、テキスト入力ボックスと「検索」と書いてあるボタンだけだ。最新のウェブブラウザのメニューには必ず検索ボックスがついている。
ただし、自動サジェスト機能にも言えることだが、入力してから変化する (表示されるなどの) 情報が含まれる。なにもしなければわからないが、なにか行動をすることで得られる付加情報があり、それがいわゆる情報の手がかりとなり、検索する利用者にとって「検索しやすい」と感じる要因になる。
反対に提供者にとってみると、どういう入力が多いのか、どういう間違いが多いのかを分析することにより、検索しやすい方法を検討できる材料にすることができる。
このことからも、一見単純そうに見える検索ボックスでも、入力の手がかりを提示することと、それを踏まえて入力された情報を蓄積していくことが必要だといえる。それが入力間違いを減らすことに合わせて、利用者がどう利用しているのかを見定めるとっておきの材料になることは間違いない。
携帯電話をはじめとしたモバイル機器においては、フルキーボードを扱うPCとは入力デバイスの形態そのものが異なることもあり、利用方法にはさまざまな工夫がされている。小さい画面で効率よく検索するためにアクセスキーによるショートカットや矢印キーを有効活用するなど、PCのそれとは異なる。とくに最近ではタッチスクリーンなどの技術を活用した端末で、GPSと地図を連動させた検索方法などもあげられる。
検索エンジンは日々進化を続けている。このことに違和感を持つ方は少ないと思うが、検索する行為そのものが、(逆に言うと) 検索を利用する人間を進化させているとも言える。検索結果の求め方を一定の法則としてまとめたアルゴリズムが進化していることでもわかるように、明日の結果は明日になってみないとわからない。
では、それらをどう考慮する必要があるかを考えると、変わることを前提としてとらえる必要がある。つまり、情報の鮮度が変わったとしても、情報の質を一定に保つことが重要だといえる。
たとえば、検索ランキングで上位を占めるものがすべて質の高い情報かということ決してそうではない。そのことを十分に踏まえて情報の質を保つこと、さらにその質が向上するような継続した取り組みをすることが求められる。
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