検索結果から導かれる情報の種類はさまざまだが、検索したあとの行動が本質的には重要だ。ユーザーを特定する際に、そのユーザーのゴールである目的を決めていくことになるが、その目的がウェブ上で完結しないかもしれないし、途中で目的が変わるかもしれない。
この途中で目的が変わることを踏まえた「ベリーピッキング(Berry Picking)」と呼ばれる検索モデル(※Marcia J. Batesの論文)があるが、まさにウェブ上での行動は目的が途中で変わる可能性を多く含んでいる。
検索結果に出てくる情報は、人間が記憶できる情報量を軽く超えてしまう。したがって、予想外の検索結果に興味を示すと、はじめの目的とは違った方向に心理は動く。テレビ番組をザッピングして興味のあるチャンネルを選ぶのと同じ心理だ。
強制的に1つの回答しか出さない方法もあるが、ウェブサイトは自らがコントロールできるメディアであり、さまざまな回答の中からユーザーが選択し行動できるようにすることが求めらる。
検索を1度実行しただけで目的のコンテンツが得られることはまだ少ないだろう。ユーザーは目的の情報が出てくるまで、検索を実行し続けることになる。検索結果を見てからまた新たな検索要求 (キーワードなど) を検索エンジン側に投げて検索を実行する。
ソーシャルネットワーキングサービス (SNS) では、ユーザーがよく使う検索入力キーワードやユーザー個別のレコメンデーション機能を提示することがある。これらはデータベースに蓄積されたユーザーが持つ情報の集合知であるため、それらをユーザー自身でも操作できる。
検索結果として代表的なものに、Googleウェブサイトの検索結果がある。通常、ページタイトルおよびサマリーが並ぶ検索結果だが、タイトル以外にもグラフのようなデータの結果を表示する場合がある。
また、それぞれの結果画面にはユーザー側からのリクエスト (キーワード) に対して、どういう情報を提示するかを管理し、提示できるしくみが存在する。これらにより、ユーザーが求める情報をさらに深堀し、適切な情報を提示して次の行動につなげる役割を果たす。
検索のプロセスにおけるユーザーエクスペリエンスとは、変容するユーザーの意識や課題に対して繰り返し実行して得られる適切な結果の情報をもとに、さらに次の要求 (行動) につなげる行動サイクルを指す。ここでは、検索サイクルにおける検索パターンとそのプロセスで必要な要素や課題をあげてみた。
今回は、「検索」という1つのユーザー行動を、ウェブサイトを通じて提供できる方法および表現を体系的にまとめたものを前提に紹介したが、今後の技術革新やユーザーの変化を踏まえて、ユーザーエクスペリエンスは常に変化していくものである。
それらを体系的にまとめて見つめ直すことは、これから未来のウェブサイトを設計していくわたしたちの責務でもあり、インフォメーションアーキテクトの価値の1つだと確信する。
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