ユーザー体験(UX)を踏まえたウェブ情報アーキテクチャを設計するインフォメーションアーキテクト(IA)。この連載では、海外におけるIAの取り組みを見ていく中で、日本におけるIAとして抑えるべきポイントや考え方などを整理して紹介する。
2008年4月、マイアミで開催された「iA SUMMIT 2008」をご存知だろうか。IAに特化したこのイベントでどういう話がされていたかを知っておくことは、今後のウェブサイトを設計する上で大きなヒントになる。
今回は、実際に当日使用したスライドを見ながら、日本における事例を交えて紹介する。スライドは、スライド共有サイト「SlideShare」を参照してほしい。
今回取り上げるPeter Morville氏の「Search Patterns」は、ウェブサイトにおけるユーザー行動の1つである「検索」の利用方法を体系的にまとめたものだ。
Morville氏は、Semantic Studios社のCEOであり、著書に「アンビエント・ファインダビリティ」「Web情報アーキテクチャ」などがあり、ウェブ情報アーキテクチャにおける第一人者として広く知られている。写真共有サイト「Flickr」のほうにも、彼のコレクション「Search Patterns」を見ることができるのでそちらも参照してほしい。
まず、「Search(検索)」と言っても、さまざまな側面を持つ。Patterns(パターン)、Futures Studies(未来の研究)、Interaction Design(インタラクションデザイン)、 Information Architecture(情報アーキテクチャ)、Knowledge Management(ナレッジマネジメント)、 Discovery(発見)、Wayfinding(経路探索)などを含んでいると言われる。
私たちの生活の中にも、ウェブサイトにおける「検索」のしくみと同じような体験をすることがあるが、これらの要素が備わっていることが理由かも知れない。このわたしたちの体験を「ユーザーエクスペリエンス(UX)」と表現する場合があるので後述する。
目的の情報を絞り込むには、検索(リクエスト)を投げることが前提になるが、検索で得た結果を見て、目的の情報にたどり着くことで、ユーザーは成長する。成長したユーザーは、検索結果から自分の求める情報を選び、適切な情報(ドキュメント)を見ることができるようになる。
ユーザーの行動パターンを分析していく上で、とくに重要なのがこのユーザー自身の「成長」である。ユーザビリティを考える上では「学習性」という言葉をよく使うが、ユーザーは行動をすることで常に変化していくため、それを踏まえて設計する必要がある。
検索には6つのデザインパターンがある。
このうち、複数の検索対象についての有効な見せ方(1、2、3)と、検索手順としての有効な方法(5)をピックアップした。
異なるデータベースや複数のデータベースをリアルタイムで同時に検索するしくみがある。最近ではサイト内検索のASPでも複数カテゴリの同時検索が可能になっているものもある。メーカーサイトなどの製品情報検索がいい例だ。
この場合、検索対象が複数に渡るため、ナビゲーション機能要件として重要なのが、次の行動にスムーズに誘導するための施策である。具体的には以下のような項目が必要だ。
「プロセスの簡略化」は、検索結果からさらに絞り込む検索項目だけを用意するのではなく、異なる検索軸の検索結果もリアルタイムで見られるようにすることである。画面のデザイン例としては「タブ切り替え」のようなJavaScriptもしくはAjaxによる表現が有効だ。
「あらかじめ想像できる」とは、検索結果の件数表示や検索結果に含まれる絞り込み項目をプルダウンなどで見えるようにすることなどを指す。
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