メディアコングロマリットNBC Universalの幹部は米国時間9月9日、同社のテレビ番組を「iTunes」で再び配信するため、NBC側が提示した価格設定とパッケージングに関するいくつかの要求にAppleが応じたと述べた。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は9月9日、自社のプレスイベント「Let's Rock」で、エンターテインメント企業のNBCがiTunesから手を引いてから1年が過ぎたが、「30 Rock」「The Office」といったNBCのテレビ番組がiTunesに戻ってくると発表した。
Appleのイベントが終わった後、NBCが一部の番組について独自に価格設定できる仕組みが例示された。Appleがテレビ番組のダウンロードに課金する料金は従来1.99ドルだが、NBCは、同社が一部の番組を99セントで提供できるようになると説明した。
NBCのデジタル配信部門担当プレジデントであるJB Perrette氏は、同社は特別パッケージに関して独自の価格設定を行えるようになると付け加えた。たとえば、「Heroes」のベストエピソード集を、1話1.99ドルで個別に買うより割安な値段で消費者に提供することも選択可能だという。
しかし、これは消費者にとって、AppleがiTunesで販売する動画コンテンツの価格に対する支配権を徐々に失いつつあることを意味する。
Appleは2008年に、映画会社が映画のダウンロード料金を複数設定することを認めた。iTunesのコンテンツの価格設定に対する発言権の拡大はこれまで、コンテンツ企業との間で難しい問題になっていた。NBCの明らかな勝利によって浮上する疑問は、レコード会社が同様の譲歩を求めるまでにどのくらい時間がかかるか、というものだ。
今回の交渉に詳しい複数の情報筋によると、Appleは長年にわたって自社の方針を固守してきたという。NBCは、かつてiTunesのテレビ番組ダウンロードの35%を占めていたが、2007年8月にiTunesからの撤退を表明した。NBCは当時、テレビ番組に対して自社が希望する価格に設定することをAppleが認めないのが不満だと述べていた。それ以来、2社は交渉を重ねたが、合意に至るまでに1年かかった。
「Appleは立派なことに、最良のコンテンツとできるだけ幅広いコンテンツを保有することのほうが、過度に厳格であるよりも重要だと理解した」(NBCのPerrette氏)
交渉に詳しいある情報筋によると、以前の条件の下では、AppleはNBCが番組の販売価格を下げることを許容しなかったはずだという。つまり、99セントの番組を販売するなどあり得なかったということだ。
Appleの関係者からはコメントを得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」