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Googleストリートビュー、「面白い」?「気持ち悪い」?-- 有識者が議論 - (page 2)

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ストリートビューの良いところとは?

 ここで中川氏は話題を変えて、ストリートビューのいい点について会場からの意見を求めた。「これから行く街の感覚がつかめることがいい」「広告のプラットフォームとしてよい」といった意見が挙がり、 パネリストからは「特にメリットはないが、海外の街並みを見るのは面白い。明確なデメリットがあれば規制する必要があるが、現状では見当たらない。悪いことがなければ何でも試していいのではないか」(八田氏)との声が聞かれた。

 ただし、河村氏からは「東京メトロが行っている出口付近の写真が見られるサービスは目的が明確でいいと思った。しかし、ストリートビューには、興味本位で何か見る以外にメリットがないと思う」と厳しい意見も聞かれた。

 檀氏は「インターネット自体も登場時点ではどんなメリットがあるかわからなかった。ストリートビューを将来的によくするにはどこを変えていけばいいかを議論していければいい」と前向きな話し合いを求めていた。

“日本的な気配り”のLocation Viewと比べると

 中川氏は、ストリートビューに似たサービスの1つで、すでにサービスを開始して2年経過している「Location View」の運営会社に対して取材したと話し、Googleとの違いを説明した。ストリートビューが顔や車のナンバーなどを自動認識技術でぼかしているのに対し、Location Viewではすべて人の目で確認して写真の削除などをしているほか、撮影カメラの高さをストリートビューよりも低くしており、撮影車は撮影中であることをわかるようにしているという。また、インターネット以外での問い合わせ窓口も設けているが、サービス開始依頼1件の苦情もないとした。

八田真行氏 OpenTechPress主筆の八田真行氏

 Location Viewの“日本的な気配り”とストリートビューの対応との違いについて八田氏は「ストリートビューがネガティブな話題になっているとしたら、Googleの経営判断が失敗だったのではないか。ストリートビューはLocation Viewよりカメラの位置が高い。カメラの高さを低くするなど工夫すれば迷惑をかけなかったのではないか」とコメントした。

収集データは誰のためのもの?

 Googleは世界中の情報を収集、整理して提供することを企業の使命として掲げている。しかしその情報は、誰のために集めているかのだろうか。

山田健太氏 専修大学准教授の山田健太氏

 山田氏は「情報を集積することはいい」として、なかなか手に入らなかった本の内容がインターネットで無料で見られるなどの利点があると指摘した。ただし、「それによっていろいろな表現、文化の問題が起こるとも思う」とし、「米国でやってOKなことでも日本では問題がある場合があることも知ってほしい。Location Viewとの違いでもわかる通り、Googleは丁寧さが足りない。Googleの目指すことも理解できるが、多様性、文化の豊かさとの矛盾ができてくるとも思う」と発言。Googleの常識が世界の非常識となる可能性を示唆した。

 一方、八田氏は「ストリートビューに対し『気持ち悪い』というのは、明治時代に『写真撮られると魂抜かれる』というのと同じレベルではないかと思う」と反対意見に疑問を呈す。「自分がGoogleに対して『気持ち悪い』と思うことは、自分の検索履歴などの行動が集積されていることだ。Googleの技術に対向するのは技術であると思う。『気持ち悪い』と思う人はブラウザにGoogleの広告を止めるような設定をすればいい」(八田氏)

 檀氏は「情報の集積はいいが、常に悪用される恐れがある。集めた情報をどのように扱うかというガイドラインを決めていくことが重要」とした。

 また、河村氏は「小学生の子供がいるが、個人情報保護法の影響でクラスの住所録が作れなくなっている状況があるが、それでも自発的に住所録を作っている人もいる。しかし、ストリートビューが登場したことで住所の持つ意味が変わった。住所録と付け合せると『あの子の家はどんな様子?』『こんな車に乗っている』といったことがすぐに分かってしまう。これは非常にわかりやすいデメリットだと思う。Googleマップは衛星写真までで止めておいたほうがよかった」とし、「情報の集積に関しては、もともと公開を目的にした情報ならいいが、メールの中身や検索履歴は集積しないようにしてもらいたい」とプライバシーへの配慮を求めた。

中川譲氏 多摩大学情報社会学研究所研究員の中川譲氏

 中川氏は、Googleの10年の歩みを振り返り、「これまでは情報を共有することが便利になり、良き情報化社会に向かっていると思っていた。しかし、ストリートビューが登場したときに、Googleが共有ではなく独占の方向に向かっていると疑問を抱いた人も多かったのではないか。『1984』(ジョージ・オーウェルの小説)のような世界が現実味を帯びてきているとも思う。とはいえ、私は毎日“ググって”いて、それはやめられない。このジレンマをどうするかが今後議論すべき点ではないかと思う」とした。

 なお、会場からの質疑応答では、「ストリートビューを使ったテロや犯罪などの事件が起きた場合には、法律で規制するという方向になるのではないか」との質問がなされた。これに対し、八田氏は「下見もしないでストリートビューだけを頼りにするテロは失敗するのではないか」とした上で、「ストリートビューを使った犯罪が一般メディアにとりあげられたら、質問いただいた通りの結果となるだろう。今の日本社会では対抗手段はないと思う」と述べた。

Googleの10年 中川氏が示した、Googleの10年の歩み

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