米Yahooは米国時間8月8日、ターゲット広告に関する米連邦議会からの問い合わせに対応して、消費者がターゲット広告をオプトアウトできる機能を提供すると発表した。
前日の8月7日にはGoogleが、傘下サイトにおけるDoubleClickの広告追跡機能強化の一環として、ユーザーがオプトアウトできる機能を追加している。
米下院エネルギー商業委員会は8月1日、既存の消費者プライバシー保護策がターゲット広告には適用されないのではないかとの懸念について、34社に書簡(PDFファイル)を送付した。書簡では各社に、ターゲット広告におけるプライバシーポリシーについて、11件の質問に回答するよう求めている。質問の中には、「影響を受ける消費者に対して、貴社が個別的あるいは直接的にオプトアウトの機会に関して告知を行っていない場合、その理由を説明してほしい」というものがあった。
この質問に対して、Yahooは「当社は長年にわたり、プライバシーポリシーのページを通じて消費者に分かりやすく説明してきたし、その説明をさらに分かりやすくするための手段を増やすことを常に探っている」と回答している。
また、Yahooは質問に回答する書簡の中で、同社のターゲット広告が消費者にもたらす利点について詳しく述べ、次のように指摘している。「消費者は、自分たちの関心に合わせてカスタマイズされたインターネット上の製品やサービスに、従来より引き続き強く反応している」
この件に関するプレスリリースの中で、Yahooのプライバシー責任者兼ポリシー担当バイスプレジデントを務めるAnne Toth氏は次のように述べている。「当社は、消費者が自らのオンライン体験をカスタマイズする際に選択できることを望んでいると確信している。また、消費者が自分自身に関連のある広告の方を好むこともはっきりと示されている」
Yahooの書簡の主張によると、ターゲット広告は、関連性の高い広告でユーザー体験を強化するだけでなく、「インターネットにおける意見の多様性」も支援するという。
書簡にはこう書かれている。「折にふれて記事を投稿したいと考えるブロガーや家庭の人々は、広告ビジネスモデルに支えられているのが一般的だ。そうしたモデルは、無料または低価格のホスティングサービスや、サイトに掲載されるテキストや画像や動画を使った広告を通じて成り立っている。意見を交換しながら収入を得られるようにすることは、開かれた討論に持ち込まれる視点を増やすとともに、1つの国家として、あるいはグローバルな社会として、開かれた対話を確かに充実させている」
これに対し、消費者団体のCenter for Digital Democracy(CDD)でエグゼクティブディレクターを務めるJeff Chester氏は、Yahooが述べたターゲット広告の利点について、「不正確で利己的」なものだとしている。
「ターゲティングされたマーケティングがいけないとは誰も言っていない。しかし、どのような情報が収集され、それがオンラインのターゲティングでどのように使用されるのか、個々のユーザーに決定する権利を委ねるべきだ」(Chester氏)
Chester氏は、Yahooの新たなオプトアウト機能は、おそらく議会の書簡だけでなく、司法省がYahooとGoogleの広告に関する提携について調査していることにも対応したものだろうと述べた。
同氏によると、CDDが2006年に行った苦情申し立てによって、議会はターゲット広告の調査に着手したという。Chester氏は、議会は米連邦通信委員会に対してオプトイン方式を標準とする米国の方針を定めるよう促すべきであり、「われわれには、適切な保護手段を手にする権利がある」と述べた。
ユーザーは2008年8月末までに、Yahooのプライバシーセンターでオプトアウト機能を利用できるようになる。このプライバシーセンターには、同社のネットワーク上にある大部分のページからリンクされている。また、同ネットワーク上のすべてのオンライン広告に添えられたパブリックサービスに関する告知内のリンクからも、オプトアウトできるようになる予定だ。Yahooがサードパーティーの広告ネットワークに提供しているターゲット広告では、すでにオプトアウト機能が提供されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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