予約ボタンを押してもらうための7つの鍵--旅行サイトに欠かせない要素とは?

奥井夏子(イー・エージェンシー インフォメーションアーキテクト)2008年07月29日 15時01分

 8月のお盆に合わせて休暇を取る人も多いのではないでしょうか。最近は旅行代理店に行かずとも、インターネットで飛行機や電車、ホテルの予約ができるようになりました。ただそれは、はたして本当に「簡単」なのか?と突き詰めて調べてみると、どうやらそうとも言えないようです。ユーザーの不満を彼らの視線と共に検証していきます。

 今回は被験者A〜Eの5名に、「お盆に旅行をするつもりでサイト内から予約をしてください」というタスクを与え、「Yahoo!トラベル」「楽天トラベル」「じゃらん」をそれぞれ利用してもらいました。

写真は「穴の開くほどじっくりと」

 被験者Eは、沖縄ツアーを楽天トラベルの中で検討しました。「ビーチリゾート特集」のバナーより、楽天おすすめのホテル一覧ページへと遷移しました。

 このページでは、ホテルによって、

  • A:ホテルに付随するプールの向こうに豪華な建物が見える写真
  • B:前面に海がありその彼方に小さくホテルの建物が見える写真
のどちらかの構図による写真を使用していました。

 彼女が詳細を見ようとしてクリックしたホテルは、一体どのホテルだったのでしょう?面白いことに、クリックされたホテルではすべて「B」の構図の写真を使用していたのです。

 理由を尋ねると「プールの写真や建物の写真をメインに押し出しているってことは、それほど海に近くないとか、ビーチが汚いとか、何か理由があるんじゃないのかな?」という、興味深い答えが返ってきました。

 ユーザーは現地に着くまでホテルを見ることができません。そのため彼らは1つ1つの写真や説明を、丹念に注意深く、それこそ穴の開くほどじっくりと見ているということに、サイト運営者は注目すべきです。

 被験者Eのように全員が深読みをするとは限りませんが、「ビーチリゾート特集」というカテゴリの中でツアーを売るのであれば、やはりビーチに魅力を感じるような写真をセレクトするべきでしょう。写真の質や構図が悪いと、それだけでチャンスロスの要因となります。

 また、口コミ情報もユーザーが真剣に閲覧する項目の1つです。

口コミ情報を見る被験者の視線 図1:口コミページでは被験者の視線の位置と滞留時間を表す青い点(視線停留点)が密集しており、文章がじっくり読まれていることが分かる(画像をクリックすると拡大します)

「同じホテルの情報しか載っていない」

 楽天トラベルを見ていた被験者AおよびBからは、「同じ宿泊先ばかり出てくる」という不満の声があがりました。楽天トラベルでは、ツアーの検索結果一覧が「プランごとの表示」という形でまず表示されます。仮に、同じホテルにたくさんのプランがある場合、ページの大半が同じ宿泊先の情報となってしまいます。

楽天トラベルを見た被験者の様子 図2:楽天トラベルを見た被験者の様子。ユーザーの視線が流れてしまっており、上部タブは見られていない(画像をクリックすると拡大します)

 こうしたページ構成の場合、上記の図2からも分かるように、ユーザーはほとんど視線を1カ所に留めていません。同じ 一覧ページでも「施設ごとの表示」を採用しているYahoo!トラベル(図3)での視線の停留と比べると、その差は歴然としています。楽天トラベルにおいても上部のタブから「施設ごとの表示」に切り替えて結果を見ることができますが、残念ながらそのタブそのものが注視されていないのです。インタビュー時に被験者へ指摘したところ、「そうだったんだ、今気づいた」というコメントが聞かれました。

Yahoo!トラベルでの被験者の視線 図3:Yahoo!トラベルでの被験者の視線。宿泊先名、プラン名、料金に視線が注がれている(画像をクリックすると拡大します)

 他の被験者にインタビューをしても「プランではなく宿泊先から選びたい」という答えが大半でした。一覧表示では、宿泊先ごとの表示がまずあり、その中からプランを選べるという見せ方の方が、ユーザーニーズにかなっているようです。

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