サンフランシスコ発--Viacomの最高経営責任者(CEO)であるPhilippe Dauman氏は普段、記者会見やインタビューなどでGoogleを非難することはない。
GoogleのCEOであるEric Schmidt氏は、ViacomがGoogleとYouTubeに対し10億ドルの著作権侵害訴訟を提起したことを公然と非難してきたが、Dauman氏はより控え目だ。
しかし、Dauman氏は米国時間7月21日夜、サンフランシスコで開催された小規模の記者会見で、同訴訟の原因となった出来事の一部や、Googleのエンターテインメント業界への対応で同氏が誤っていると考えている部分について語った(発言内容を直接書き取ったわけではないので、同氏の発言の大半を言い換えてある)。
Dauman氏はまず、2006年9月のCEO就任後、最初に面会した人物の一人がSchmidt氏だったと語った。Dauman氏と幹部らは、同年10月にGoogleが17億ドルでYouTubeを買収した時、安心したという。というのは、彼らはその時点までYouTubeを「ならず者企業」と考えていたからだ。
Dauman氏は当然、YouTube上に投稿されている、長編映画やテレビ番組を違法にコピーしたビデオクリップを言及していた。
Dauman氏は、ViacomはいずれGoogleと契約を締結すると確信していたため、両社が合意に至らなかった時には失望したという。しかし、その後もViacom傘下のComedy Central、MTV、Paramount Picturesが制作したコンテンツの違法コピーがYouTubeに投稿され続けたため、同氏の失望は別のものへと変化した。
Dauman氏は、「誰もわれわれから奪うことは許されない」と語った。また同氏は、Googleは最初から、同社が「その空間を支配」し続ける限り、著作権者を無視する戦略だったと確信している、と付け加えた。
Dauman氏は、GoogleがYouTube上の海賊行為を阻止する手段を一切講じなかったのは、それらの行為が、多くの視聴者を引き付けるのに役立っているからだ、と主張する。
仮にDauman氏の主張が正しいとすると、Googleの戦略は奏功したことになる。YouTubeの月間ユニークビューアー数は7000万人以上に上る。これほど多くのビューアー数を誇るビデオサイトはほかに存在しない。
では、訴訟のリスクについてはどうか。Googleは豊富な資金を有しているため、仮にViacomに敗訴し、同社に10億ドルを支払うことになっても、それは許容リスクと考えたのだろう、とDauman氏は見ている。
Dauman氏は、Googleが交渉戦略を変えない限り、今後のハリウッドとのコンテンツ契約締結に向けた交渉は難航するかもしれないと指摘する。Googleはこれまで、YouTubeで売り上げを上げるのに苦心していると述べてきた。
Dauman氏は、Googleが交渉に消極的であるために、YouTube上に質の高い合法的なコンテンツがほとんどない状態を招いていると語る。Googleは「友人作り」の重要性や、「得る」だけでなく「与える」必要性を学ばなければならない、と同氏は指摘する。ちなみに、Dauman氏の息子は、Googleに勤務しているという。
Googleはいつも、同社は著作権を尊重しており、海賊版コンテンツの撲滅を目的としたフィルタリングシステムに取り組んでいる、と述べてきた。実際、同社は一部の映画スタジオと和解しつつあるようだ。
映画配給会社Lions Gate Entertainmentは先週、米国の大手ハリウッドスタジオとして初めて、コンテンツ分野でYouTubeと提携を結んだ。
情報筋の話によると、このような提携は今後さらに増えるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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