企業はこうした面にも取り組んでいる。典型的な一例がTrust.salesforce.comで、このサイトにはSalesforce.comのサーバのトランザクションの応答時間が表示されている。また、いつ問題が発生したのか、どのような影響があったのか、何が原因だったのかについても詳細に書かれている。
Salesforce.comの企業戦略担当バイスプレジデントであるBruce Francis氏は、「顧客とのやりとりで、顧客が透明性を求めていることがわかった。顧客は常に何が起きているかを正確に知りたがっている。問題が発生したとき、顧客は激怒したりしない。何が起こっているのかを正確に知りたがっているだけだ」と述べている。
Amazon.comもAmazon Web Services向けの基本的なステータスレポートダッシュボードを提供している。広報担当者のKay Kinton氏は、「サービスダッシュボードは弊社の開発者から求められたものであり、できるだけ早くサービスを公開した」と述べている。
クラウドコンピューティングの不安を軽減することで、ビジネスを行おうとする企業もある。その一例が、オープンソースの監視および管理をするソフトウェア会社であるHypericだ。Hypericは、Amazon Web Servicesをさらに詳細に監視する「CloudStatus」サービスを6月に開始した。マーケティング担当シニアディレクターのStacey Schneider氏によれば、Hypericは現在、Google App Engineを含む他のサイトへの監視サービスの拡大に懸命に取り組んでいる。
「人は、自らのリスクは自ら負担するということから逃れられない。クラウドコンピューティングがゆっくりとしか普及しないのは、これが原因だ」(Schneider氏)
Chandra氏は、Googleはユーザー、顧客とのコミュニケーションの向上に努めていると述べたが、Google Docsの稼働時間を明らかにし、7月8日に問題が発生した理由を正確に説明するには至らなかった。
「Docsが停止した際、Googleはすぐに問題が発生したことを管理コンソールに掲載した。また、ヘルプセンター、電話回線システムに、すぐに問題の対処に当たったことを通知した」(Chandra氏)
自社のステータスダッシュボードを計画しているか質問されたChandra氏は、詳細は明らかにしなかったものの、ユーザーのサポートを向上することを約束した。「Googleは、信頼性について透明性を高める方法が他にもないか探しているところだ」
クラウドコンピューティングのリスクについて騒ぎたてるのは当然だともいえるが、クラウドなしのコンピューティングを推進していくことにもリスクがあることに、企業は注目すべきだ。PCの不調や盗難、サーバの酷使や障害によるダウンタイムも深刻な問題だ。
「99.999%」の信頼性を誇るハイエンドサービスの場合、1年間の99.999%はサービスが利用できるので、サービスが停止するのは年間5分15秒以下だ。99.9%の稼働時間を保証するGoogleのGmailのSLAの場合、停止時間は1年間で9時間以下だ。
99.999%ではないかもしれないが、Gmailだけに限ったことではなく、Googleは状況を楽観視している。
「顧客と話したが、99.9%はほとんどの組織の内部サービスよりもずっと高い数値だ」(Chandra氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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