この6月9日から3日間、全米IR協会(NIRI)の年次総会が「アートとサイエンスのバランス」をスローガンにカリフォルニア州サンディエゴで開催された。
米国国内の42州をはじめ、カナダ(30人)、ブラジル(18人)、日本(18人)などから約1,500人のIR関係者が参加した。
IR業界最大のイベントだけに、当然、現地に到着するとさっそくサンディエゴの心地いい海岸を散策する自分の写真に添えて、旧知の友人と再会する高揚した気分をブログに書きとめる参加者も出てくる。
年次大会といえば、企業経営者や取引所、規制当局の責任者による全体会場の講演、市場関係者の討論会、各社のIR担当者やIRコンサルタントからの実例報告を聞く分科会のパネルディスカッションに話が向きがちだ。
しかし、ほとんどのIR支援業者がブースを出す「IRショーケース」はさながらバザールのようだ。ブースを出すのはIR支援業者ばかりではない。ホテル業者やXBRL(会計新言語)の団体、各取引所まで、その数は70社を超す。
これと思うブースに立ち止まり、最新のインテリジェント・プロダクトに目を通す。これから学ぶことは多い。最先端のデモも盛んなだけに、今回は動画共有のユーチューブ、写真共有のフリッカーなどソーシャルメディア経由で、その様子を発信するプロモーションも現れた。
例えばズー・ドット・コム・コミュニケーションズだ。CEO(最高経営責任者)ライアン・リーバック氏が「つぶやき」投稿のTwitter(ツイッター)を使い、インターネットや携帯電話に大会に参加した140人あまりのショート・メッセージを発信したのだ。
また「IRショーケース」会場のブースに足を運んで、自社のビジネスを熱っぽく語る議決権行使大手アルトマンのCEOアルトマン氏、そして「マイクロソフトの仕事、やってます!」(イニスフリーM&A)とか「本日、アイプレオと業務提携を結びました!」(SNL IRソリューションズ)と軽いノリで話す各スタッフの音声画像を「ユーチューブ」に掲載。会場を超えて楽しい光景が広がる。
また、写真共有のフリッカーで開会の挨拶や講演の参加者を写したスナップは数百にも達した。
中でも、そうしたコンテンツを集めたフレンドフィードのフィードサイトは「NIRI08」のページを用意し、連日大変なアクセスを集めた。
というのも、フレンドフィードはグーグル・マップやGメールのクリエーターたちが創業し、この2月サイトがローンチされて以来、日増しに、その人気はうなぎ上りだったからだ。
もちろん主催者のNIRIも独自に年次大会の公式サイトを立ち上げている。講演や13の研修講座、27の分科会で配布されたプレゼン資料はどれもPDF形式でダウンロードできる。
開会後のエンジニアリング大手HIS会長&CEOのジール・スティード氏によるゲストスピーチをはじめとする講演や討論会も、翌日には音声のウェブキャスティングを会員向けにEメールされた。もちろん、それぞれの講演や討論にはEメールで質問ができる。
参加者のブログやショート・メッセージ、音声動画の配信、フィードサイトも加わったNIRIの年次大会は、公式サイトとソーシャルメディア経由の参加者発信で双方向空間を実現した。
それは、文字通り、ウェブ2.0時代のイベントだった。
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