サンフランシスコ発--米国時間6月11日、Google最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は、メディア企業はGoogleを敵ではなく、インターネットで広告が機能するよう努力している味方とみなすべきだと語った。
Schmidt氏は、当地で行われたThe New YorkerのメディアレポーターであるKen Auletta氏とのオンステージインタビューで、Googleには、質の高い広告コンテンツを提供している企業をサポートする報奨金制度があると述べた。しかし、Schmidt氏によれば、必ずしも業務で重要な位置を占めているわけではないが、Googleの動機付けには別の側面もあるという。
パブリッシャーが抱えている、インターネット上で広告を機能させる問題について、Schmidt氏は「ここで役立つのは、大きな道徳的義務だ」と述べている。
幸いにも、Googleの道徳観では、金を稼ぐ努力もそれにかなっている。Googleは、2008年初めに買収したディスプレイ広告会社、DoubleClickの力を借りてオンライン広告の問題を解決しようとしている。Googleの資金源は検索結果の隣に表示されるテキスト広告の販売だが、DoubleClick獲得により、Googleはグラフィック広告市場に挑もうと考えている。
DoubleClickを得たことで、広告主は、同じインターフェースで検索およびディスプレイ広告の両方の市場に挑むことができるとSchmidt氏は言う。「DoubleClickと(検索広告)アーキテクチャの融合によって単一のプラットフォームを提供することができるが、やがてはそれがパブリッシャーに大きな利益をもたらすことだろう」(Schmidt氏)
しかし、ディスプレイ広告はインターネットでは不安定なビジネスだ。最近の研究では、景気の悪化により、ウェブでのディスプレイ広告の成長は鈍化していることが判明した。TNS Mediaによれば、2008年第1四半期の売上高は8.5%増の29億ドルで、2007年の成長率は16.7%だった。
Viacomは、「YouTube」のサイトでの著作権侵害で、Googleを訴えている。しかし、Schmidt氏は、メディア企業がGoogleを攻撃するのは、Googleがデジタルコンテンツ時代の到来を告げる役割を果たしているからだと主張する。
「モデルの大変換が起こっている。批判の多くはこのことに起因するものであったため、Googleが図らずも変化の到来を告げる役を務めることになった。変化はそれぞれの場所で個別に起こってくるだろう」とSchmidt氏は述べている。
Google自体もある意味ではパブリッシャーである。GoogleはYouTubeサービスを通じて無数のビデオを提供している。したがって、ディスプレイ広告を拡充しようとする意欲はDoubleClick部門よりも強い。
インターネットのメディア利用は増えているが、支払いは減っているとSchmidt氏は言う。「Googleにとってはよくないことだ。Googleは質の高いコンテンツを大いにあてにしている」(Schmidt氏)
広告を機能させる重要な要素は、実際に興味を持っている人たちをターゲットに広告を打つようにすることだと、Schmidt氏は述べている。検索エンジンの検索クエリから人々の関心を推測できるため、ウェブサイトの検索ではターゲットを絞るのは簡単だが、ディスプレイ広告の場合、検索ほど容易ではない。しかし、より的確に広告のターゲットを定める方法がわかれば、広告主は一般的な広告への支出を減らすようになると、Schmidt氏は予測する。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」