5月2日、大和インベスター・リレーションズの「2008年インターネットIR(投資家向け広報)サイトの優秀企業」に402社が選出された。
今回で8回目の「IRサイト優秀企業」は402社で、過去最多だった。
前年の296社から106社も増加。35.8%増だ。対象となったIRサイトは1879社だから、そのうちの21%強が「IRサイト優秀企業」となったわけだ。
すぐれたIRサイトとなるか、ならないかの分かれ目はいくつかあるが、どれも簡単だ。その1つは、アクセスする人たちの期待に応えているかどうかだ。
アクセスする人たちの中には、ジャーナリストや機関投資家やアナリストなど企業情報の専門家もいるが、なによりも、ほとんどが「気まぐれな」人たちだという事実がある。その要求度もきわめて高い。
IRサイトにアクセスする株主や投資家なら、その企業の株価はかならずチェックする。それも、何よりも最初に知りたい数字だろう。
すると、株価表示のない企業が4割強もあった。また、株価表示を外部のサイトに飛ばしている企業も意外に多い。「気まぐれな」人たちは見る目がとても厳しい。しかも、確かだ。それが、株式表示が外部サイトに飛んでいて、どう思うだろうか。もう一度、IRサイトに戻ってきてくれるだろうか。
そして、ここで忘れていけないのは、どのサイトでも、アクセスする人たちは必ずといっていいほど、他のページから飛んできているという事実だ。
いわば、どのサイトも「気まぐれな」人たちによって、たえず比較・対照されているといっていい。その期待に応えようとするなら、株価はIRサイトのトップに掲載するのはもちろん、どのページからでも分かるようにデザインする配慮が欲しい。そんなIRサイトは100社あまりにとどまった。
各社のIRサイトに掲載されるコンタクト先。ここに記載された「メールでの問い合わせ」がない企業は半数を超す。記載があった907社に簡単な質問を送付した。
結果は、同日に返信を返した企業は478社(52.7%)、翌日が175社(19.3%)、翌々日が51社(5.7%)だった。1週間を過ぎて回答する企業も13社(1.4%)あった。
問題なのは、この時点になっても返信がない企業が159社(17.5%)もあることだ。携帯電話でメールのやり取りが当たり前の光景になって久しい。社員や家族の間でもメールでたえずやり取りしている。それなのに、「メールでの問い合わせ」に1週間を過ぎても返事も出さない。こんなことが、現実にあるのだ。
まさか、「気まぐれ」で返信しているはずもないだろうに。
インターネットの登場で、企業は社外メディアの手を借りなくても、株主をはじめ、内外の機関投資家、国境を超える個人投資家、世界各地の従業員やお客様などに、端末のエンター・キーをたたくだけで直接、大量の情報発信が可能になった。
そしてテクノロジーの進展は、情報の方向をプッシュからプルに転じるウェブ2.0時代を演出している。しかし、いまもIRサイトにアクセスする「気まぐれな」人たちは圧倒的に多数だ。すべては、その好感度にかかっている。
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