着うたフルへの移行が進んでいる理由としては、1つに対応端末の普及が進んできたこと、そしてもう1つに、配信する曲のバリエーションが増えたことが挙げられる。アーティストによっては現在でも着うたでしか配信しないケースも見られるが、それでも大抵のアーティストの楽曲は、着うたフルで入手できるようになってきている。着うたは約100円、着うたフルは約300〜400円という価格差が普及のハードルになると思われたが、それほど大きな障害にはならなかったようだ。
これに伴い、着うたと着うたフルのポジションにも変化が見られるようになってきた。具体的には、着うたで楽曲を先行配信し、その後CDや着うたフルの販売に結びつけるという、プロモーション的な役割を着うたに担わせるケースなどが増えてきているのだ。今後は着うた単体での配信は厳しくなることが予想されるので、こうした着うたと着うたフルとの役割分担はより進んでいくことが予想される。
ちなみに、これはモバイルコンテンツ全般にいえることだが、テレビの影響を非常に強く受ける傾向がある。音楽系コンテンツもその例に漏れず、テレビの影響を受けて意外な変化をすることがあるようだ。例えば、ある人気バラエティ番組で1年前の曲が流れた時、古い曲であるにもかかわらずその曲が着うたサイトのランキングでトップ10入りしたという。この動きはモバイルとテレビの連動性の強さを物語っているといえよう。
検索機能がキャリアのポータルサイトに搭載されたことで、テレビがモバイルコンテンツに与える影響が強まっているようだ。テレビで見て感情が高ぶった時にサイトを探し、アクセスしてダウンロードするという一連の流れに検索サイトが入ったことで、より目的のコンテンツを瞬時に見つけやすくなっているのだろう。
音楽と並んで大きな市場を形成しているのがゲームだ。2007年11月にNTTドコモがmobidec 2007の講演で明らかにしたところでは、iモードにおけるモバイルゲームの市場規模が単月で40億円にのぼっているという。また、総務省の調査によれば、モバイルゲーム市場全体の規模は年間748億円で、着うたとほぼ同じ大きさにまで急成長している。
ゲーム系コンテンツの伸びが堅調な理由は、1つに「直感ゲーム」のように新しい機能を取り入れたものが登場し、市場が活性化されていることが挙げられる。そしてもう1つ、ポータルサイトの広告も大きく影響しているようだ。例えばiモードの「iメニュー」にあるトップページの広告を多く利用しているのは、実はゲームサイトだ。ゲームは他のジャンルのコンテンツと比べ反応が大きく、繰り返し広告出稿をしているコンテンツプロバイダも見られるほどだ。特にカジュアルゲームのコンテンツは、広告を通じて幅広い層にリーチすることで新規ユーザーや「また遊んでみたい」というユーザーをうまく誘導している。これが、市場の活性化に結びついている。
ゲームの中でも伸びが著しいものとしては、メジャーなタイトル名を冠したライトゲームコンテンツが挙げられる。近年、ディー・エヌ・エーが運営する「モバゲータウン」に代表される、一般サイトの無料ゲームコンテンツが増えているため、カジュアルゲームを提供する公式コンテンツが影響を受けているのではないか、という声も多く聞かれる。だが実際のところ、それほど大きな影響は見られないようだ。
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