「iPod」が発売されてから6年以上がたち、Appleはいまだに音楽プレーヤー市場のトップに君臨している。しかし、次に何が来るのだろうか。
Appleは、おそらくは同社の危機を救ってくれた製品の進化の岐路に立っている。iPodによってAppleの利益や投資が促進されていなかったら、われわれはおそらく過去1年間、Appleの急伸するMacビジネスや、業界のあり方を根本から変えてしまった「iPhone」について語ることはなかっただろう。
数年にわたって2けたの成長を続けた後で、iPodの成長はついに鈍化した。市場はおそらく飽和してしまったのだろう。読者は、音楽を携帯したいと思っていながらMP3プレーヤーをまだ買っていない人を誰か知っているだろうか。しかし同時に、iPodはちょっとした革命を経験しているのである。iPodは単なる音楽プレーヤーから、本格的なコンピュータに変身しようとしている。
Appleは、「iPod touch」とiPhoneを将来のiPodビジネスの中心として考えていることを示す明確なシグナルを送っている。全世界のiPodとiPhoneのマーケティング担当のバイスプレジデントであるGreg Joswiak氏は、Appleが2月に高性能のiPod touchを発表したときに、AppleはWi-Fi対応のiPod touchを「新しい種類のデバイス」と考えていると述べた。
しかし、これは全世界がiPod touchのような高度なデバイスにステップアップする準備が整っていることを意味するものではない。多くの人々は移動中に音楽を聞き、ビデオを見たいと思っているだけであり、そのために大きな出費をしたいとは思っていない。AppleはiPodの上位製品ラインを進化させるために確実なステップを踏んでいるが、ドル箱であるiPodを次の10年まで持たせるには何をするべきなのか。
クラウドに目を向けよう。「IaaS(iPod as a service)」はありがたいことに決してキャッチフレーズとして流行することはないだろうが、Appleは通常のiPodにサービスをバンドルし、なるべく高速のワイヤレス機能を追加し、ムーアの法則によって実現するのが可能なうちになるべく早く「Mac OS X」を新世代のiPodに搭載することによって、現在と将来との間のギャップを埋めることができるかもしれない。
2007年のどこかの時点でiPodの成長は鈍化し始めた。前年比の販売台数の成長率は2006年のホリデーシーズンの50%から2007年のホリデーシーズンにはわずか5%まで落ち込んだ。しかし売上高の成長は依然として安定しており、2006年のホリデーシーズンの18%と比べて2007年のホリデーシーズンも17%だった。
これは、消費者が旧モデルのiPodから新機種に買い換えていることを示唆しており、この傾向はわれわれの最近のiPodに関する調査でも裏付けられている。「iPod classic」(ビデオを再生できるiPodのすべての世代を指す)は31%の回答者にとって日常の音楽プレーヤーになっている。全回答者の52%は1台または2台のiPodを所有しており、34%は最初のモデルを2003年または2004年に購入している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」