コムスコア、グーグルのペイドクリック数のデータ差異の発生理由を説明

文:Stephen Shankland(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年04月22日 11時22分

 ネット利用動向調査会社のcomScoreはGoogleの財務成績がアナリストの予測よりもはるかに好調だったため貧乏くじを引くはめになり、米国時間4月18日、あわてて自社の悲観的な予測と実際の数値との折り合いを付けようとした。

 問題の核心となっているのは、ペイドクリック数と呼ばれるGoogleの広告業績を計測する主要な指標である。これは、Googleが検索結果の隣に表示する広告のいずれかをウェブ検索のユーザーがクリックした回数を指す。comScoreは15日、Googleの2008年第1四半期のペイドクリック数は前年比で1.8%成長したと報告した。しかし、17日、Googleは実際の成長率は20%だったと発表した。

 この差があまりに大きかったためGoogleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は決算発表後の電話会議でcomScoreに次のようにくぎを刺した。「ペイドクリック数の成長率はサードパーティーが予測していたよりもはるかに高い」(Schmidt氏)。comScoreの株価は17日の営業時間後の取引で8%下落したが、18日にはその下落分の大半を回復した。

 なぜ両社の出した数字はこれほどまでに違ってしまったのだろうか。comScoreのAndrew Lipsman氏が18日に投稿したブログの記事によると、2つの大きな要因がある。

 1番目にして最も明白な要因は、Googleの発表した20%という統計数字は全世界のデータであるのに対して、comScoreは米国内の結果のみを計測していたことであると、Lipsmanは述べている(Collins StewartのアナリストSandeep Aggarwal氏によると、のちにGoogleは米国内のペイドクリック数の成長率を10%と発表した)。

 第2に、GoogleはAdSenseサービス(パートナーのウェブサイトにGoogleの広告を表示するもので、そこから得られた売上高を両者で配分する)によるクリック数も含めていたことだとLipsman氏は指摘している。さらにYouTubeによる「強力な売上高の成長」も大きな差が生まれる要因になっており、comScoreとGoogleが出している結論には実際にはそれほどの差があるわけではないと述べている。

 Lipsman氏は読者を数字の計算につきあわせた後で、以下のような責任を回避するただし書きを加えている。

 「comScoreでは、Googleの第1四半期の業績を予測するときには複数の要因を考慮する必要があると常々警告してきた」とLipsman氏は書いている。「クリック単価の上昇、Googleを圧迫するには至っていないように思われるマクロ経済の要因、そしてGoogleが第1四半期で堅調な売上高の成長を達成したと思われる事実を考慮しないと米国のペイドクリック数だけでは全容は見えてこないだろう」(Lipsman氏)

 comScoreのCEOであるMagid Abraham氏と検索担当シニアバイスプレジデントであるJames Lamberti氏は2月のブログの記事で、comScoreが1月のペイドクリック数のデータを発表した後で起こった小さなパニックを収拾しようとしていたが、Lipsman氏はこのブログ記事を参照するように勧めた。

 たとえ読者がcomScoreのデータ分析の手法が理解できず、さらに責任回避のただし書きが気に入らないとしても、Lipsman氏の記事の次の部分は決して忘れてはならない。「Googleの不透明さがcomScoreのデータに対して非常に大きな影響を与えている」

 したがって株式取引に手を出す時の判断基準として何らかのデータを参考にするときには、それがどのようなものか知っておくべきである。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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