Facetime Security Labsのマルウェア研究担当ディレクターであるChris Boyd氏は、過去数年にわたってエコーブーマーがインターネットをどのように使用しているのか、そしてこの世代の一部の集団がどのような経緯でコンピュータハッキングの世界に足を踏み入れるのかを調査してきた。前編ではエコーブーマーの特徴、傾向、そして一部の少年たちがハッキングに手を染める、その考えられる動機について考察した。この中編ではこれらの少年ハッカーたちが実際にオンラインでどのような活動をしているのかを見ていく。
Boyd氏は、11〜12歳の少年による、自作のフィッシングキットやボットネットキットを自慢するフォーラムへの投稿を数多く見ているが、ほとんどはゲームの改造版である。同氏によると、サイト上にある多くのプログラム自体が偽物であり、人々がサイトを見に来るように誘っているにすぎない。実際にサイトを訪れてみると、置いてあるのはたいてい音楽CDと盗んだ音楽作成ソフトウェアである。また、自分の(オンラインの)名前をプリントしたTシャツを販売している少年さえいたとBoyd氏は言う。こうしたサイトを宣伝するために使われているフォーラムも興味深いものであり、その多くは10代の若者によって運営されている。
Boyd氏は、11〜12歳の子供たちが自分のリセラーウェブホスティングのアカウントを運営している例も珍しくないと言う。サイトに掲載されているのは多くの場合、全くでたらめのデータであり、ウェブサイトには連絡先情報も書かれていない。それでも人々はこうしたレンタルサーバを求めて登録している。「幼い子供たちがリセラーアカウントを運営するケースは増えている。わたしが実際に見聞きした経験からも増加傾向がうかがえる」(Boyd氏)
彼らは、どこに行ってどこにサイトをホスティングするべきかといった情報を年長の少年から口コミで得る。そしてエコーブームハッカーたちは簡単には削除されないことがわかっている特定のウェブホストに引きつけられる傾向がある。中にはあまり賢くないハッカーもいて、あらゆる場所にホスティングしていたりもする。これらのサイトの多くは閉鎖に追い込むのが非常に簡単だ。「わたしが気づいたことは、自分のフォーラムを運営している少年たちの多くはそのフォーラムのメンバーをフィッシング詐欺に引き込もうとすることだ。これはきわめて奇妙だ」(Boyd氏)
フィッシング詐欺に引っかからなければ「クラップフラッディング」を仕掛けられるおそれがある。クラップフラッディング(「たわ言の洪水」の意)は「おまえはハッカーの神だ」といった無意味なメッセージを繰り返し書き込んでフォーラムのやりとりを破綻させる「荒らし行為」のことである。ただし、多くのサイトでは自動化されたスクリプトを防止するためにCAPTCHAシステムが導入されているので、これを実行するには多少の知識が必要になる。
こうした少年たちのほとんどは該当しないが、中には相当の金額を稼いでいる子供もいる。1例として、アイスランドを拠点に活動していたHelgibという少年が挙げられる。Boyd氏によると、Helgibは自作の音楽とビデオを販売し、自分の店まで持っていた。MySpaceのプロフィールには誇らしげな宣伝文句が書かれている。Helgibはまたかなり厚顔無恥でもあり、いたるところに自分の写真を掲載していたとBoyd氏は言う。
Boyd氏によると、Helgibは米国に拠点を置く非常に疑わしいウェブホストに安全な避難場所を見つけたため、しばらくの間はビジネスを続けることができた。Boyd氏がHelgibのサイトを閉鎖させるたびに、すぐにどこか別の場所で復活するのだった。
Helgibは自分に酔っているようだ。YouTubeの彼のプロフィールには、「自分はコンピュータマニア、プログラマー、ミュージシャン、そして著名なハッカーである」と書いている。Boyd氏によると、Helgibはある時Wikipediaの著名なハッカーについて説明した項目に自分の個人データを書き込もうとした。Boyd氏は挑発的な行為だと感じながらも、なかなか機知に富んでいると思った。
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