エコーブームハッカーズ--新世代ハッカーを追う(中編:活動の実態) - (page 2)

文:Robert Vamosi(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年04月22日 16時00分

YoGangsta50の転落

 Boyd氏は2007年夏、YouTubeで別の例を見つけた。そのビデオ(すでに削除されている)は、「Grand Theft Auto」という人気ゲームの改造版「Hood Life」を宣伝するものだ。この悪意あるコンテンツはYouTubeビデオそのものとは無関係だが、問題なのは末尾に加えられているURLだ。このサイトには悪質なファイルが置かれていて、そこにリンクするとファイルがデスクトップにダウンロードされる仕組みだ。

YoGangasta YoGangasta
提供:FaceTime Security Labs

 自身も熱心なゲーマーであるBoyd氏は、54人がビデオを見た後でこの悪意あるファイルを実際にダウンロードしたかダウンロードした可能性があることを知って激怒した。そして自身のブログで粗悪な画質と全体的に安っぽい作りを非難した。しかし、こうした少年ハッカーたちに完全に魅了されてしまった熱狂的なファンの一群がおり、多くの時間を費やして彼らにへつらって気に入られようとする。ここでは完全に機能する構図ができあがっている。

 Boyd氏はオンラインの活動を実世界における街中の不良グループに例える。不良グループでは年長の少年が年下の少年を仲間に引き込み、自分がやりたくない仕事をやらせる。年下の少年が捕まっても素知らぬ顔をしている。年少者なので無罪放免になる可能性が高いのである。その一方で年長の少年は自分の好きなようにまた別の少年を勧誘する。

Hackerboyの奇妙な二重生活

 次に紹介するのは悪名高き10代ハッカーの秘密の二重生活に関する話である。この少年は、表の顔は「Hackerboy」として知られているが、Boyd氏はこの少年が実は恥ずかしいYouTubeビデオに登場する「風船少年」でもあることを発見した。Boyd氏は「h4xor god(「腕利き」ハッカー)」と名乗る少年が投稿したこのビデオに偶然出くわした。この少年はとても「有能」で、いくつかの学校のネットワークを匿名で制御下においていることを示すスクリーンショットを投稿していた。それほど匿名でもないうえに、頭がいいとも思えないとBoyd氏は言う。

Hackerboy Hackerboyまたの名を風船少年
提供:FaceTime Security Labs

 この少年、Hackerboyはわざわざフォーラムのプロフィールページに一応は匿名とおぼしきハッカーたちと一緒に写っている自分の写真さえ掲載していた。そこでBoyd氏は、この少年はほかにどんなプロフィールページを持っているのだろうかと思った。HackerboyのYouTubeビデオを見つけたのはそのときだった。彼は風船からヘリウムガスを吸い込んで、地元の広場を走り回っていた。その姿はいかにも間抜けな少年だった。

 Boyd氏によるとHackerboyはこのビデオをYouTubeから削除しようと試みたらしいが、Boyd氏は自身のブログに次のように書いている。「わたしはすでにそれを公開してしまったし、ページは決して閉鎖しないことに決めた。これでわたしのノートPCは今後永久に、恥と笑いの永遠の記録場所としての役割を果たすことになるのだ」(Boyd氏)

 しかしそれでも風船少年を完全に崩壊させるには不十分だった。Boyd氏はさらに次のように書いている。「1人の風船少年を用意する。そこにハッキングされたサイトをひとつまみ、何枚かの写真、そして完全な愚かさを少量加える。それを沸騰するまで加熱して、世界各地にいる何人かの人々から少年の学校にあてた10通程度の電子メールを加えてみるとどうなるだろうか」。すると少年は完全にネットの世界から消え去った。

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