そこは偽のハッキング(フェイクハック)と「Habbo Hotel」や「World of Warcraft」のゲームのアカウントの盗難に満ちた世界である。金銭が絡んでいる場合もあるが、詐欺やいたずらはほとんどの場合は単に威信を得るための手段にすぎない。
10代の若者による次世代コンピュータハッカーの世界にようこそ。こうした11〜16歳の子供たちは「YouTube」「MySpace.com」「Facebook」「Xanga」をソーシャルネットワーキングサイト(SNS)とは考えていない。彼らはこれらのサイトを「ソーシャルエンジニアリングサイト」と呼ぶ。
彼らはいわゆるエコーブーマーに属するコンピュータおたくである。エコーブーマーは1982〜1995年に生まれた子供たちの世代と定義される。また、「ジェネレーションY」「新世紀世代」と呼ばれることもある。エコーブーマーという名称は、彼らの30年前に生まれたベビーブーマーという名称に直接関係しており、実際にその多くはベビーブーマーの子供たちだ。CBS Newsによると、エコーブーマーは自分たちの小遣いと両親のお金を合わせて、すでに年間1700億ドルを使っており、したがってマーケティングの観点から重要な存在である。
エコーブーマーはインターネットの成長を人生のかなり初期の段階に経験した最初の世代である。中には最新のWeb 2.0アプリケーションや、ビデオストリーミング、ソーシャルネットワーキングといったサービスのアーリーアダプターもいる。またコンピュータのハッキングに手を出し始める子供たちもいるが、旧世代のコンピュータハッカーとは違い、新しいことを探求することが目的ではない。ハッキング自体が目的化している。
Facetime Security Labsのマルウェア研究担当ディレクターであるChris Boyd氏によると、エコーブーマーのコンピュータハッカーたちは「古い世代のハッカーたちと比べてリスクに対する意識が低いように思われる」という。彼らは次から次へとSNSを乗り換える。そして盗んだクレジットカードを販売しているサイトに自分の写真を掲載して満足している。彼らはインターネットでは決して匿名ではないとBoyd氏は言う。しばしば同一のユーザー名を使っているのでアカウントを停止するのが簡単である。
しかし特定のユーザー名を使い続けるのは、10代のメインストリームのユーザーすべてに当てはまるわけではないと、Danah Boyd氏(Chris Boyd氏とは関係ない)は示唆する。カリフォルニア大学バークリー校のPh.D.候補、およびハーバードロースクールのBerkman Center for Internet and SocietyのフェローであるDanah Boyd氏の大学院の研究テーマは、人々がオンライン環境で自分の表現物を管理する方法である。彼女のその後の研究では、新しいソーシャルサイトのページを作成する目的のためだけに使い捨ての電子メールアドレスを作成するティーンエイジャーの実例が見つかっている。やがて時間がたって、そのサイトや電子メールアカウントのパスワードが分からなくなってしまった場合には、単に新しいアカウントと新しいプロフィールページを作成するのである。
Pew Internet & American Life Projectは2007年1月、12〜17歳の米国に居住する935人のメインストリームの若者に関する調査結果を発表した。全体として、12〜13歳の41%がソーシャルサイトのプロフィールを持っており、14〜17歳ではその割合が61%だった。しかし、性別で見るとその差は顕著である。15〜17歳の女子の70%がソーシャルサイトのプロフィールを持っていたのに対して、同年代の男子は50%にすぎなかった。
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