ラスベガス発--携帯キャリアはネットワークを自主的にオープン化すると約束することによって、規制上の問題を回避したようだ。
米連邦通信委員会(FCC)委員長のKevin Martin氏は米国時間4月1日、米国の携帯キャリアのネットワークオープン化の努力に対して、これ以上の規制を要求しないことによって報いるつもりだと述べた。
当地で開催された通信業界の展示会「CTIA WIRELESS 2008」の基調講演でMartin氏は、ワイヤレス業界への「Carterfone」規則の適用を求めるSkypeの申し立てを退ける命令をFCCのコミッショナーらに通達する予定だと述べた。FCCによる1968年の「Carterfone」の裁定は、独占的なBell電話会社に対して同社の閉鎖されたネットワークを開放して、他社の機器がそのシステムに害を与えない限りは、そのネットワークで使用できるように義務づけるものだった。
コンピュータを利用してインターネットで電話をかけられるフリーソフトを提供しているSkypeは2007年、FCCに対してこれらのルールをワイヤレス業界に適用し、Skypeのソフトウェアなどのアプリケーションが携帯電話で使用できるようにして欲しいと申し立てた。現在、ほとんどの携帯キャリアは携帯電話でSkypeを禁じている。自社の音声サービスと直接的に競合するからというのが主たる理由だ。
電話会社のネットワークを開放させるための働きかけはますます強まっているが、Skypeの申し立てもその一環だった。Googleは700MHz周波数帯の競売でオープンアクセスルールを追加するようにFCCに働きかけることに成功した。
携帯キャリアは自主的にネットワークを開放することによって、規制や規則の強化の脅威に対応した。最も厳しい「囲い込み」で知られていたVerizon Wirelessは11月、方針の転換を図り、従来のサービスに加えて、基本的な認証の要件を満たしたあらゆる機器やアプリケーションを同社のネットワークで使用できる新しいサービスを開始した。つまり、顧客は事前に承認済みの好きな機器を小売業者や機器メーカーから購入して使いたい任意のアプリケーションを何の制限もなく追加できるということだ。さらに、顧客は1つの契約に縛られなくなる。
AT&Tもこれに倣い、独自のオープンアクセスネットワークの提供を開始した。さらにT-MobileとSprint Nextelもこの方向に進み、Open Handset AllianceでGoogleと協力して「Android」と呼ばれるGoogleのオープンソフトウェアプラットフォームを推進している。
Sprint Nextelの最高経営責任者(CEO)であるDan Hesse氏も1日の午前中にCTIAで講演し、同社は引き続き顧客があらゆるアプリケーションにアクセスしやすくし、さまざまな機器を同社のネットワークで使用できるようにしていくと述べた。
「ネットワークの『囲い込み』は過去の遺物である」とHesse氏は述べた。「Open Handset Allianceの創立メンバーとして、われわれはこれまで以上に無線データを開拓、推進していくつもりだ」(Hesse氏)
Verizon WirelessのCEOであるLowell McAdam氏は、当地で実施した基調講演で業界は規制を寄せ付けないために主体的に行動しなければならないと明言した。そして、キャリアがネットワークを開放して顧客の要求に耳を傾ければ、規制当局が口を挟む必要はなくなるだろうと述べた。
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