携帯電話関連の業界団体によると、米国の携帯電話加入者は以前ほど速いペースで携帯電話を買い替えなくなっているという。こうした状況を受け、携帯電話利用者の緊急電話(911)通報への対応を改善する取り組みの先行きが怪しくなってきた。
米国の携帯電話事業者は、E911指令により、2005年末までに、ユーザーの所有する携帯電話の95%を、緊急電話通報時に位置情報を送出するものにするよう義務付けられている。だが米国時間6月30日、複数の携帯電話事業者が連邦規制当局に対し、この計画を延期するよう要請した。
米国の携帯電話加入者の約15%が、他のユーザーよりも長い期間にわたって古い端末を利用することに何の不満も感じていないと、携帯電話事業者各社は主張している。携帯電話加入者は平均18〜24カ月毎に携帯電話を買い替える。CTIA(Cellular Telecommunications and Internet Association)とRCA(Rural Cellular Association)の両業界団体は、古い端末を使い続ける加入者が位置情報通知機能をもった端末に年内にアップグレードする可能性は低いと主張する。
特にやっかいなのは、安心のためだけに携帯電話を所有し、急用でもない限りこれを利用しないタイプの加入者だ。このタイプの加入者は、事業者や端末をめったに乗り換えない。こうした利用者が、年内に位置情報通知機能をもった機種にアップグレードする可能性はかなり低い。
CTIAとRCAの弁護士らは30日、連邦通信委員会(FCC)に宛てた書簡のなかで「多くの無線通信事業者は、今後6カ月以内にこの状況を改善できないものと思われる」と述べている。弁護士らはFCCに対し、無線通信事業者に課されたE911指令の遵守期限に猶予を設けるよう要求している。
今回の要請内容は、Verizon Wireless、Sprintなどの事業者に適用される。Cingular WirelessとT-Mobileは、位置情報の確認に異なる技術を用いていることから対象外となる。
この件についてFCCからコメントは得られていない。
固定電話事業者は、何年も前からE911に対応している。この経験からも、通信事業者がE911に対応することが人命救助にいかに役立つかが分かっている。911にダイヤルしても、途中で通話が切れたり、通報者がパニック状態に陥って自分のいる場所を正確に伝えられなくなったりすることも多い。そのため、緊急電話を受けたオペレータが、発信者の位置情報を把握できるようにしようと定められたのがE911指令だった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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