ニコニコ動画は単なる動画共有サイトではなく、ほかのユーザーと動画を見ながら語りあったり、感想を言い合ったりする「感情を表現し、共有する場」だ――3月14日に東京都内で開催されたオンラインゲーム開発者向けのカンファレンス「OGC 2008」において、ニコニコ動画を運営するニワンゴの代表取締役社長、杉本誠司氏が講演し、ニコニコ動画の現状と、目指している方向について述べた。
杉本氏によれば、ニコニコ動画を開発した動機として、「これまでの動画サイトは映像が流れてくるだけで、臨場感がなかった。もっとその臨場感を共有できたら、という思いが根底にある」と話す。
累計登録者数は3月11日時点で580万人。このうち、「プレミアム会員」と呼ばれる有料会員数は19万2000人、携帯電話での利用会員は119万人だ。
男女比を見ると、男性が71%、女性が29%。年齢別に見ると20代が圧倒的に多く47%、次いで10代の27%、30代の18%となる。ただし、NTTドコモの公式サイトになったことなどが奏功して10代のユーザーが増えているといい、「モバイル向けの施策は今後積極的にやっていきたい」という。
ニコニコ動画の収入源は有料会員からの月額利用料のほか、バナーなどの純広告と、動画に関連したアフィリエイト広告を視聴ユーザーが自由に掲載できる「ニコニコ市場」からの売り上げがある。杉本氏によれば、2月の総取扱高は2億8600万円にものぼるという。
ニコニコ市場は、杉本氏によれば「話のネタを増幅させるツール」だ。動画の端に映っていたグッズや、歌のフレーズの一部に出てくるものなどを、動画を見たユーザーがAmazon.co.jpなどで探して貼り付ける。これにより、ある動画に少しだけ映っていた、光が当たると葉が揺れるおもちゃ「フリップフラップ」や、ある曲の「Go My Way」というフレーズが「ごまあえ」に聞こえることから、すりゴマがニコニコ市場で大ヒットするといった現象も起きている。
「動画を見たユーザーが、自分の気持ちを表す商品を掲載し、それに共感した別のユーザーがその気持ちを示すために商品を買っている」
2月には、ユーザーが商品を購入すると、サイト上部に「○○さんが△△(動画の番号)を見て××を購入しました!」といった表示が出る「電光掲示板」という機能を追加した。「商品を買う側のモチベーションになっており、かなり受けている。これを実装してからずいぶん売り上げが伸びた」と杉本氏は話す。誰かが商品を購入したこと自体を広告にする手法は「ソーシャルアド」と呼ばれているが、商品を購入すること自体が、ユーザーにとっての自己表現になっているということだ。
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