オーバーチュアが新スポンサードサーチと呼ばれる新プラットホームに移行してから数カ月が経ちますが、このコラムをご覧の皆様は新スポンサードサーチをうまく使いこなせているでしょうか?今更、以前の方が良いって言っても始まらないので、ここでは新スポンサードサーチでの効果を上げるテクニックをいくつか取り上げたいと思います。
まず、新スポンサードサーチになってよかったの?どうなったの?とお客様から質問されることがありますが、一言で言うと私は「良かった」と答えています。私が知る限りでは、今回の新順位決定方式で広告効果が向上しているお客様がほとんどだからです。
関連性の低いキーワードのQI(クオリティインデックス)が悪くなり、クリック単価や成果単価が上昇してしまうケースもあります。しかしながら、多くのお客様は、以前よりも広告効果が良くなることが多いと考えています。何か特別な施策を行ったわけではなく、きわめて当たり前のことを順序立てて行っただけで広告効果が向上しているのです。
では、実際に新スポンサードサーチに変わってから、どのような施策を行ったのかをいくつかご紹介します。
■タイトル説明文の複数同時入稿
これができることで、オーバーチュアにおけるタイトル説明文のテスト期間の短縮が可能となりました。同じ期間で異なるタイトル説明文をランダム配信することで、時期的要因などから解放され、正確な前後比を算出することができます。
さて、皆さんはタイトル説明文を作成する際、どのような方法で行っていますか?
正解はありませんが、私は「軸」を複数用意する方法が良いと考えています。
たとえば、旅行企業の場合、「料金が安いこと、ツアーの数が多いこと、簡単に予約出来ること、全国に事務所があること、オプションが豊富なことなど、タイトル説明文内で打ち出したい強みは多数あると思います。
ただ、その強みのどれがユーザーに最も支持されるかはわかりません。また、タイトルに説明文を設定するキーワードによっても結果は異なります。よって、タイトル説明文内で打ち出したい強みを「軸」として管理し、キーワードよって「料金軸」「ツアー数軸」「ユーザビリティ軸」「オプションプラン軸」のうちどれが最も効果的なのかを判断するようにしています。
なお、システム上では同時に20個のタイトル説明文を入稿することができますが、より正確な比較検証結果を出すためにも最大4つまでに抑えることがポイントになるでしょう。と言うのも、検証データの収集に時間がかかりテストの意義が薄れる危険性があるからです。
■地域配信
これも新スポンサードサーチへの移行後にできた新しい機能です。一部地域のみ限定でビジネスを展開されているお客様には非常に有効な機能となります。今まではどうしてもサービスエリア外からのクリックが発生していましたが、完全ではないまでも、この機能を利用することでそれらの問題はある程度除くことが可能です。さらに、QIが良くなる可能性も大いにあります。
まだオーバーチュアの提携ネットワークに完全に適応しているとは言えないので注意する必要がありますが、ぜひ試していただきたいサービスです。
■アカウント構造の進化
7月からの新スポンサードサーチへの移行にともない、オーバーチュアは旧来の「アカウント>カテゴリ>キーワード」というアカウント構造から、「アカウント>キャンペーン>グループ>キーワード」という構造に進化しました。グーグルと同じ構造になったと表現した方がご理解も頂きやすいかもしれません。これにより、今までの運用ではなかなかできなかったことも可能になりました。
たとえば、オーバーチュアとグーグルのアカウント構造を同一にします。そうすることで、媒体の違いによる数値の差がわかるようになります。オーバーチュアでは成果の獲得ができているが、グーグルではインプレッションも成果も少ない、など、今まででは簡単に比較ができなかったデータを見ることができるようになりました。
今までと違う角度からデータを見ることで、また新たなアイディアが生まれ、リスティング広告全体での広告効果の向上が可能になっています。
■アカウントの事後成形
最後のポイントとしては、アカウントの事後成形を丁寧に行うということです。作業はかなり複雑ですが、せっかく新しい構造になったこともあり、覚悟を決めて実施することをお勧めします。今回、ご紹介した施策の中では一番広告効果アップが期待できる施策です。
キーワードを抜け漏れなく抽出し、事前に決めた掛け合わせのワードでキーワードを作成していきます。さらに、グループを細分化し、各グループ内のキーワード数も、できる限り少なくします。タイトル説明文も各グループにあわせキーワードインサーション機能などを利用しキーワードとのマッチングを高めます。こうすることで、より広告効果を上げることが可能になるのです。
実際に、アカウントの再構築を実施した結果、成果数120%UP、獲得単価65%という実績を残すことができたケースもあります。一度アカウントの整理をすることで、今まで気づかなかった施策や、やるべきことが見えてきます。是非お試しください。
このように、新スポンサードサーチに移行をしても、移行前と基本的に行うことは変わりませんが、可能性が広がったと思っています。実際に行うべきことは非常にシンプル、且つ誰にでもできるため、このコラムを参考にしていただき、実践していただければと考えています。
リスティング広告では、これ以上の効果は期待できないのではないかと思われている方もいらっしゃると思いますが、新スポンサードサーチになった今は行うべきことは多分にあります。
もちろん今回のコラムにはすべてを書ききれないため、一部のみのご紹介となりましたが、各アカウントによって違いがあるので、効果検証を繰り返しそれぞれの必勝法を見つけることが一番重要になってくると考えています。
真弓聖悟(セプテーニ)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス