予想されていたとおり、Appleは3月6日(米国時間)に「iPhone」向けソフトウェア開発キット(SDK)を公開した。iPhone SDKによって、ビジネスユーザーや一般ユーザーがモバイル機器でできることは大幅に拡大する。
iPhone SDKは、iPhoneと「iPod Touch」で直接実行できるアプリケーションをサードパーティーが開発できるようにするSDKだ。ユーザーがiPhoneで使いたいと考えるアプリケーションを、Appleがすべて予想して開発することはとてもできないため、iPhone SDKはきわめて重要だといえる。それに、SDKを使って開発されるアプリケーションの中には、iPhoneを買おうかどうか迷っている人たちの購入意欲をそそるものも出てくるだろう。
ベータ版は6日にリリースされた。正式版のiPhone SDK、およびiPod Touch用のアップデートは、2008年6月にリリースされる予定だ。一部の開発企業については公式リリース前に正式版のiPhone SDKが入手可能になるようだが、具体的にどういうシステムになるのか、詳細は不明だ。
iPhone SDKのベータ版は6日から無料でダウンロードできる。ただし、開発者は「iPhone Developer Program」への参加が必要で、それによって、開発者はコードをテストしたり、技術サポートを受けたり、アプリケーションを配布したりできるようになる。「Standard Program」の費用は年間99ドルだ。社内用アプリケーションの開発を希望する開発者には「Enterprise Program」が用意されており、こちらの費用は年間299ドルとなる。また、会計上の取り扱いの関係から、iPod Touchのアップデートについては有料化される予定だが、金額はまだ明らかにされていない。
1000を超えるWebアプリケーションがAppleのウェブサイトで紹介されている。また、いわゆる「ロック解除」ソフトウェアを利用して何百もの非公式のアプリケーションが、これまでに開発されているとみられる。だが、6日に披露されたアプリケーションが、Appleによって公開された初めての公式なサードパーティー製アプリケーションだ。
Appleは、数週間でどのようなものが開発できるのか見極めるために、さまざまな企業の開発者にiPhone SDKのコピーを先行配布した。そうしてできたアプリケーションの一部が、6日のSteve Jobs氏のスピーチで披露されたのだ。ただし、発表されたアプリケーションは、今のところコンセプトを示すだけのようなものだ。開発企業はアプリケーションを持ち帰り、さらに時間をかけて改良してから、最終バージョンをリリースすることになるだろう。
披露されたアプリケーションには、iPhoneのタッチスクリーン上で指を動かすことで写真に「Photo Booth」のようなエフェクトをかけられる「Touch FX」、初の公式iPhone用ゲーム「Touch Fighter」、Electronic Artsのビデオゲーム「Spore」のモバイル版、Salesforce.comの管理アプリケーション、AOLのインスタントメッセンジャー(IM)のiPhone版、Epocratesの医療記録アプリケーション、セガのビデオゲーム「Super Monkey Ball」のiPhone版があった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」