どっち側に伸びるかが読めなかったっていうのがあるんですよね。どういう機能が今のユーザーに適しているのかと考えたときにも、どの意見にも説得力がないんですよ。結局、誰も実証を見ていないし、みんな「俺はこう思う」としか言えなくなる。
色んな機能をつけて公開した場合、どこが受けてどこが受けていないのかがよく分からなくて、結果のページビューだけが出るじゃないですか。
ニコニコ動画は最初、(動画の上に)文字が書けるだけだったので、動画を見たいならYouTubeに行けばいい。文字を書くことにどのくらい面白さを感じてくれる人がいるかということは、単一機能だから見えてきた、というのがある。
例えば大学の論文を書くときに、2つの標本があって1個だけ要素が違うようにして比較しますよね。要素が複数になると、比較がものすごく大変になる。
後は、だめだったらさっさと(サービスを)下ろそうっていう(笑)。言い方が悪いんですけど、YouTubeを利用させてもらっていたので、設備投資があんまりかからなくて、失敗して撤退しても誰も痛くないっていうのがあって。たまたま社内にあるサーバを数台使って、エンジニアが何日かテストした。サービスがダメだったとしても動画系のノウハウがたまるからそれはそれでいい、くらいの気持ちですね。
観察しているのが面白いというのがあると思います。僕が想像していなかったものを持ってくる人たちを。それがひどいものでも別にいいんですよ、こんなひどいものをよく思いつくなって(笑)。半年前の卵を食べてみる、とか。そういうのも別に僕としてはアリだと思います。
逆に、アニメのネタが分かる人同士が集まって、もっと濃いアニメのネタをやっていくと、分かる人をどんどん狭めていってしまう。さすがに僕もわからないので面白くない。
コミュニティってかならずそういうのがあって、最初はみんな初心者なんですけど、必ず常連さんが出てきて、初心者が入りづらくなって、過疎化していく。そのコースに行きそうな気がして気になっているんですけどね。
なので、コミュニティが濃くならないようにするか、切り分けてしまうか、何らかの手段は必要かなと思ってはいます。
その辺りは僕がどうこう言って何とかなるものでもないですからね。結局、面白いと思ってる人たちはずっと面白いと思っているので、それを外から「それ面白くないよ」と言っても「いやいや、面白いから」と言われるだけなんです。そうするともう、その人たちはその人たちでがんばってもらって、初心者の人たちが入れる別の新しい器をどんどん用意する形にならざるをえないのかなと。たとえばいまのニコニコ動画を「アニメ好きニコニコ動画」というものにして、「アニメ嫌いニコニコ動画」というのを作るとか(笑)
今のランキングだと、今までランキングを見てきた人が分かるネタのものばっかりなんですよ。初めてニコニコ動画にログインしてランキングを見た、という人が面白いものが、そんなにない。初めての人でも、動画を見ながらコメントしていくことが面白いんだなと思えるような見せ方というのは必要になるかなと思ってはいます。
結局、使ってみて面白いと思うか、不満を感じないかということだと思うんです。(動画再生中に告知や広告が割り込まれる)「ニコ割」がうざいのに何で存在するのかというと、たまに面白いものが見られるから。例えばテレビCMも、本当は番組だけ見たいからテレビCMはなくなればいい、という意見もありますが、そのおかげて面白いテレビCMが生まれたりもする。メリットとデメリットって必ず一緒について回るものだと思っていて。
そういう意味で、割とマイナスなところもあるけれども、それも含めて楽しんでもらえるっていうユーザーを増やしたいなと考えているところです。
会員になっていない人へのアピールポイントは、「ニコニコ動画(SP1)」で実装した、外部サイトにニコニコ動画の再生プレーヤーを載せられるっていうことが1つです。
あとは、普通のネットサービスをやっている会社がやらないようなことをしていると、「この人たちは面白そうなことをしている、ちょっと見に行ってみようか」という気になってもらえると思うんですよ。
そういう意味で、ちょっと他の人たちがやらないことを意識してやっていったほうが、実は一般の人たちは入って来やすいんじゃないかという期待もしています。
後編「ひろゆき氏が考える、ニコニコ動画と日本の目指すべき方向性とは」につづく
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