これまでに4回に渡り、山崎徳之が本連載「ソーシャルグラフの可能性を探る」を執筆してきましたが、今回から伊地知晋一が担当し、主にソーシャルグラフのビジネス的側面について解説していきます。
ブログやSNSに代表される「参加のアーキテクチャ」を持つウェブサイトでユーザーが行動することで生み出されたCGM(UGC)は膨大な数となり集合知となることで、辞書や商品レビュー、Q&A、評価、などとしてユーザーに利便性を与えている。
また、ユーザーが行動することで生み出される集合知の種類は、ブログやSNSの日記だけではなく、友達とのリンク、ソーシャルブックマーク、RSSリーダー、レビュー、レーティング、サイトの訪問履歴(足あと)、ECの購買履歴、など多岐に及んでいる。このように集合知は「参加のアーキテクチャ」を持つウェブサイトが増えるにつれて、増大していくと言えるでしょう。この連載ではこれらの情報を「節」(ノード)と定義しています。
すでに集合知がインターネットユーザーに利便性を与えていることは事実でありますが、その利用方法は主に他のユーザーが残した集合知を「そのまま、あるいは整理して表示」することにより、他のユーザーと共有させることで利便性を提供していると言えます(私はこれを「明示的なリンク」と呼びます)。
しかし集合知には、さらなる価値があると考えられます。例えばGoogleのページランクは特定のページにどれだけのリンクが貼られているかを集計することで、リンクされたページの価値を判定するロジックです。
これはユーザーの手による「リンクの方向」(エッジ)と、その「数」という集合知を利用することで、ユーザーに利便性を与えているものです。このようにユーザーから生み出される一つ一つの情報からは見えにくいが、集合知を解析しグラフとすることで見えてくる情報は、他にも数多く存在すること考えられます。私はこのような見えない情報の関連性を「非明示的なリンク」と呼びます。
集合知には「明示的なリンク」と「非明示的なリンク」が存在すると述べましたが、ここに人の情報を含む「非明示的なリンク」を導き出すものの一つがソーシャルグラフであると考えます。
ポータルサイト ライブドア立ち上げ、ライブドアブログを初めとした、50以上のネットサービスを立ち上げる。同時に広報部長も兼任しライブドアのPRに貢献した。現在はゼロスタートコミュニケーションズにて社内外のサービス企画とプロモーションのコンサルティングに当っている。著書に「CGMマーケティング」、「ブログ炎上」、「情報化白書2007」がある。
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