現在、日本ではまだソーシャルグラフ的な概念を用いたサービスあまり存在しておりませんが、皆さんの馴染みが深いサービスでソーシャルグラフを実装しているものとして、mixiの「おすすめマイミクシィ/コミュニティ」があります。
おすすめマイミクシィは、本来自分からは見ることの出来ないマイミクシィの先にいるマイミクシィを分析することで、関係が深いと予測されるユーザーを表示するものです。
mixiに登録している方は一度使われてみるとわかるのですが、これを利用すると「実際には知人であるが、まだマイミクシィに登録していないユーザー」を高い確率で発見することができます。従来は実際の知人であっても本人に確認でもしなければmixi内に存在しているのかも、どのようなニックネームなのかも解らないために探し出すことが困難でした。
しかしソーシャルグラフは、各ユーザーが持つマイミクシィ(他のユーザーへのリンク情報)という集合知を解析しグラフとすることで得られる「非明示的なリンク」を提供しているのです。
ソーシャルグラフから導き出される非明示的なリンクから得られた情報は、検索エンジンやディレクトリー検索で得られるような、ある程度想定し得る結果だけでなく、想定していなかった「気付き」を与える傾向があります。
これは検索エンジンの利用方法が一人の人間の頭の中にあるキーワードを頼りに、そのキーワードにマッチする情報を探し出すことに対して、ソーシャルグラフは集合知を利用する為に自分以外の「知」を借りていることから起こる現象です。
これにより今まで検索エンジンやディレクトリー検索では見つけることができなかった、見えない情報の関連性から生まれる「気付き」を得ることができるのです。
mixiの例は、自分が興味のありそうなユーザー(人)を見つけ出すという行為に効果を発揮するものですが、第1回記事でも述べたようにソーシャルグラフを生成する為に必要なノード(節)は「人」に限らず、全ての情報に対して「非明示的なリンク」を提供することができます。
例えば、ソーシャルブックマークサイトに存在する各ユーザーのブックマークを解析しグラフ化することで、関連性の高いウェブサイト同士の「非明示的なリンク」を導き出すこともできますし、Youtubeにある各ユーザーのお気に入りリストを解析しグラフ化することで、関連性の高い動画同士の「非明示的なリンク」を導き出すことができます。
これらは人とウェブサイトや動画をいう2つのノードから導き出された結果ですが、ソーシャルグラフに利用するノードは2つに限らず複数のノードを「協調フィルタリング」「ベイジアンネットワーク」「共起」などの複数の解析方法を組み合わせグラフ化することで、より高い精度の「気付き」を提供できる可能性があります。
これらの手法により最も大きくビジネスモデルに影響を与えることができるのが「広告」ではないかと考えます。
ポータルサイト ライブドア立ち上げ、ライブドアブログを初めとした、50以上のネットサービスを立ち上げる。同時に広報部長も兼任しライブドアのPRに貢献した。現在はゼロスタートコミュニケーションズにて社内外のサービス企画とプロモーションのコンサルティングに当っている。著書に「CGMマーケティング」、「ブログ炎上」、「情報化白書2007」がある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?