青少年を有害なコンテンツから守るための方法について議論する総務省の検討会「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」が、中間報告書の作成に向けて議論をまとめている。2月27日に開催された第4回検討会では総務省の事務局から骨子案が出され、構成員からさまざまな意見が寄せられた。
今回の検討会では、青少年が携帯電話から有害な情報にアクセスするのを防ぐため、フィルタリングサービスの導入促進を図るべき、との方向で話が進んでいる。ただし、そのフィルタリングサービスが利用者にとって必ずしも便利なものではなく、またコンテンツプロバイダーなどの事業に悪影響が出る恐れがあることから、反対意見も相次いでいる。
総務省はこういった点を踏まえ、骨子案において、現在携帯電話事業者が提供しているフィルタリングサービスが利用者の価値観などを反映できない画一的なものである点を課題として指摘。また、アクセスできなくなるサイトが数多くあること、携帯電話事業者が認めた公式サイトにしかアクセスできなくするホワイトリスト方式は、コンテンツの選別につながる恐れがあることを問題視した。
これを改善するための方法として、(1)フィルタリングサービスに多様性を持たせること、(2)携帯電話事業者が推奨するフィルタリングサービスそれぞれのメリット、デメリットを明らかにするとともに、携帯電話事業者の責任範囲を明確化すること、(3)優良なコンテンツの基準などを策定する第三者機関を設立すること、などを挙げた。
また、フィルタリング以外の方策として、他省庁などと連携しながらインターネットリテラシーを向上させるように教育、啓もう活動を進めていくこと、「18禁」のようなコンテンツのレイティングなどを検討していく考えを示した。
この案に対して、インターネット上でのトラブルや犯罪問題を扱う非営利団体WEB110の代表を務める吉川誠司氏は「携帯電話事業者の責任という文言があったが、フィルタリングによってブロックされてしまったサイトに対する免責なのか、それともフィルタリングを利用していたにもかかわらず何らかの被害を受けてしまった利用者に対する免責なのか」との質問があった。
また、奈良先端科学技術大学院大学教授の山口英氏は「『インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会』という名称だが、実質的に議論が携帯電話のみに限定されている。携帯電話は技術面、運営面、経済面のどれを見てもPCインターネットとは異なり偏っている業界だ。ここでの話がPCインターネットの世界にも一般化され、話が一人歩きしては怖い。携帯電話のみの話だと明記して欲しい」と訴えた。
國學院大學法学部専任講師の高橋信行氏からは「新たなことをする際にはかならずコストがかかる。現在のフィルタリングサービスに課題があるのだとしたら、それを直すために開発、運用面でいくらかかるかという試算を出して議論したい」との要望があった。
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