フィルタリングで使えなくなったモバイルコンテンツの行方は?--総務省研究会から

永井美智子(編集部)2008年01月30日 18時53分

 有害サイトにアクセスできないようにするフィルタリングサービスが適用されることで、契約していた有料コンテンツにアクセスできなくなった場合、どうやって解約すればいいのか――総務省が1月29日に開催した「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」では、携帯電話におけるコンテンツフィルタリングが強化されることで起こりうる問題が指摘され、新たな検討事案が明らかになった。

 携帯電話・PHS事業者は総務省からの要請を受け、未成年の契約者に対して原則的にフィルタリングサービスに加入するような施策を取ることを明らかにしている。ここで問題となったのは、フィルタリング対象となるような有料コンテンツを現在利用している契約者への対応だ。

 18歳未満の契約者は、「フィルタリングサービスを利用しない」という意思表示をしない限り、フィルタリングサービスに自動加入する予定になっている。これにより、いままで利用できていた有料コンテンツがある日突然使えなくなるものの、課金だけは続くという事態が起こりうるのだ。

 この点について、NTTドコモとソフトバンクモバイルは「解約専用ページを用意して、フィルタがかかるサイトでも解約だけはできるようにする」、KDDIは「フィルタリングがかかるとアクセスできなくなる有料コンテンツは自動的に解約される」という対応を取ると話す。

 ただし、これらはいずれもキャリアの公式コンテンツに限定した話だ。キャリア非公認の一般サイトの場合は、課金もキャリアを通じず、クレジット決済や電子マネーなどで行っている場合が多い。PCサイトから解約できればまだ良いが、携帯電話のみにサービスを提供している場合は利用者の解約手段がなくなってしまう。

 インターネット上でのトラブルや犯罪問題を扱う非営利団体WEB110の代表を務める吉川誠司氏は、「自動的にサービスを継続利用できなくなるのであれば、ユーザーには事前に伝えておく必要がある。また、ゲームの場合はそれまで育ててきたキャラクターが使えなくなるし、日記のデータが消えてしまうとしたら、金銭的被害ではないにしてもユーザーには損害だ」と指摘した。

 また、モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長の岸原孝昌氏は「そういった問題を免責事項として盛り込んでいるサイト運営事業者はほとんどないが、法的責任を事業者が負うのは厳しい。損害賠償を請求された場合に、事業者が通信キャリアに請求できるのかという部分も含めて、誰の責任になるかという点は検討していただきたい」と訴えた。

 この点に関して、社団法人電気通信事業者協会(TCA)専務理事の坂田紳一郎氏は「実態を調査し、利用者に被害がおきないかを調査する。対応できるものはするし、利用者に周知すれば理解してもらえるものについては、周知に努めたい」とした。

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