社員数は2007年9月末で約120名。インターネットマーケティング事業は、主に営業部門とコンサルティング部門に分かれる。イメージとして は、SIerの組織体系と非常に似ている。まずセールスが契約までまとめ、そこから継続的に既存の顧客とやり取りを行う営業担当にスイッチ。同時に専門の コンサルタントが就くという体制だ。コンサルタント集団は、リスティング広告やSEO、ウェブ解析、ランディングページの作成、キャンペーンサイトの企画 など、機能別に組織が分かれている。
営業職ではすでにつき合いのある顧客を担当する職種「アカウントプランナー」、コンサルティング部門ではリスティング広告の運用を専門に行っていく「ストラテジスト」という職種を中心に採用を進めているが、状況はなかなか厳しいという。
ただし、理由はわかっている。永井氏は「多分、当社のバーが高いのだと思います」と言い切る。そんなアイレップの採用のポイントは次のようなものだ。「ひとことで言うと、思考力が高いレベルでバランスがとれているということです。思考力にもさまざまあると思うのです。ロジックの整合性とか論理思考力、何か物事があったときにそれを手順を仕立て上げる手順化能力、拡散的にいろいろなことを考えて無から有を生み出すような思考能力など、どれか一つだけ突き抜けているよりも、バランスがとれていないといけない。その辺を面接で試させていただいていると、おのずとバーが上がってしまっています」
思考力のバランスはどの職種でも重視される。もともとインターネット広告がメール広告やバナー広告のみであったときは、いわゆるインプレッション 追求型で、マス広告という売り方と大差はなかった。ところが、SEMは、検索キーワードによりターゲティングされたユーザーにいかに適切な企業メッセージを伝えられるかを追求するモデルだ。「ですから売り方として、 広告の枠売りのようなビジネスではなくて、いかに効果の上がるやり方をご提案し続けるかが大事になってきます」(永井氏)
顧客から月に何千万円単位の予算を預かり、それを運用して利益を上げていくストラテジストも、その役職の名称は金融ファンドのストラテジストを参 考にした。両者は非常に似た性質の仕事なのである。そのため、まずは論理と、投資対効果(ROI)の高い最適な運用を組み立てられないと話にならない。
一方で近年の戦略としては、ナショナルクライアントへのSEMサービス提供も盛んに行っている。テレビCMを見てさらに詳細な情報を得るために検索をするユーザーが増えているため、テレビCMを大量に流す大手クライアントのビジネスにおいてもSEMは重要となっている。
「例えば、リアル店舗をたくさん持っていらした業態が中心のお客様がネットに予算を割き出したというのはどういうことなのか、リアル店舗事業と ネット事業の強弱はどんな感じになっているのだろうか、ネット事業が目標値を達成したときに、その会社にとってどのぐらいのインパクトが与えられるのか、どれぐらいの広告予算を投下してもらってROIをこうしていかなければいけないなどの予測ができるかどうか。これは論理的思考だけではなく、さまざまな洞 察力も含まれますし、ビジネスセンスが必要です。だからこそ論理的思考は最低限必要ですが、それだけではない幅広い思考力のバランスを求められてくる」 (永井氏)
それでも社員の年齢は若く、平均28.6歳だ。他のインターネット広告代理店と比べると比較的、熟慮型の人材が多いという。会社の中にノルマ表などはなく、個人が組織としての目標数値を持っていない、極めて珍しい会社だ。「こつこつと仕事を積み上げて成果を出すタイプの人間が多い」と永井氏は語る。
アイレップは2006年に大阪証券取引所ヘラクレスに上場し、2006年は資本提携などでビジネスも積極的に拡大してきた。中期の目標では2010年9月期に、売上145億、営業利益10億達成を目指す。すでに売上100億を今期で達成すべく業績予想という形で立ち上げている。
「そのため、まずはSEMの領域でダントツのトップに立たないといけない。SEMは労働集約的作業だけでなく、知的作業が重要だと思っています。優秀なコンサルタントの数で決まる。2007年同様、愚直にこのビジネスを推進していきます」
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