自分の仕事に熱意を持って取り組んでいる人に会いたいなら、Don O'Neal氏と話してみるといい。
エンジニアで、Helps Internationalのバイスプレジデントを務めるO'Neal氏は、きわめて効率のよい薪ストーブを考案し、ラテンアメリカで暮らす貧しい人々に安価で提供している。
シンダーブロックでできたストーブ内のセラミック層のおかげで、燃焼室の温度は華氏1400度(摂氏760度)にまで上昇する。この温度になると、木材はもちろん、木材から出る油までほぼ完全に燃焼する。そのため、1つの家族が生活していくのに必要な薪の量を70%減らすことができるとO'Neal氏は説明する。
この薪ストーブがあれば、家族が薪を探して費やす時間を減らせる上、地域の森林破壊の進行を遅らせることもできる。また、おそらくそれ以上に重要なのは、(床に穴を掘って作った昔ながらの炉でよく起こる)火傷事故で重傷を負ったり、一酸化炭素中毒になったりする子どもの数を減らせることだ。
薪ストーブの価格は120ドルだが、「6カ月で元が取れる」とO'Neal氏は言う。これは、私が長年聞いている数多くのセールストークのなかではこのうえなくすばらしいものだ。
カリフォルニア州サンノゼにある技術革新博物館(Tech Museum of Innovation)は2007年、発展途上世界のための魅力的で持続可能なソリューションを発明したとして、Helps Internationalを表彰した。他にも、Proctor & Gambleが、3.5セント程度の価格のパック1個で10リットルの水を消毒できる家庭用浄水剤「PuR」で表彰されている。また、Devendra Raj Mehta氏は、通常コストの10分の1にあたる35ドルで製造できる高密度ポリエチレン製の義足の発明で表彰された。ケンブリッジ大学のHelen Lee氏も、病気を診断できる低コストの簡易尿検査法「FirstBurst」を開発し、表彰されている。
Microsoft会長のBill Gates氏は、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムで「創造的資本主義」を育てるという話をしたが、そのときのGates氏は、このようなプロジェクトを頭に思い浮かべていたのだろう。Gates氏は、民間企業にいる革新的な発想を持つ従業員が、発展途上世界の抱える問題の解決に取り組む余地が得られるよう、組織構造を多少変化させて自由度を大きくすることを企業に奨励すべきだと考えている。こうした取り組みは、犠牲的精神を求められる慈善事業ではなく、自らの情熱で取り組む仕事だ。
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