Microsoftの会長Bill Gates氏以上に資本主義を享受している者はいないだろう。
その同氏が今、このマーケットシステムの失敗を目の当たりにし、自由市場による寒風の中に取り残されている人々に対してさらなる責務を果たすよう企業に呼びかけている。
スイスのダボスで開催の世界経済フォーラムで、Gates氏は現地時間1月24日にスピーチを行い、企業らに対し、自分たちの製品がどの様にして社会に貢献するのかを幅広く検討するよう呼びかけた。
Gates氏は、Bill & Melinda Gates Foundationを通じて、資本主義の2つの欠点、すなわち貧困層を襲う健康問題の解決と教育制度の改善を中心に活動している。
スピーチの中で、Gates氏は企業に「創造的資本主義」活動を始めるよう呼びかけている。
Gates氏はこのスピーチに先立つインタビューでThe Wall Street Journalに対し、「財団に専念するようになったら、いろいろな業界に働きかけるつもりだ。携帯電話会社や銀行、製薬会社にも出向き、どうすればそうしたことができるか話そうと思っている」と述べた。
Gates氏のスピーチに対する反応は興味深い。まず、Gates氏の言行不一致を指摘するのは難しい。Gates氏は財産の大半を資本主義の欠点を克服するためにつぎ込んでいるだけでなく、自身の活動自体を慈善分野に移そうとしている。2008年7月には、Microsoftでのフルタイム勤務を辞め、財団に専念する予定となっている。
しかし、同氏がそうした心境に至るまで長い時間がかかったのも事実であり、The Wall Street Journalの記事もそう指摘している。同社は数年前から、PC革命から取り残されている何十億という人々に同社の技術をもたらすべくさまざまな活動に着手している。しかし、そのように心を広げたきっかけはLinuxや海賊版の脅威であり利他主義ではないと主張する人もいる。
そして、Gates氏が資本主義の不足を解決しようと企業に呼びかける一方で、同社は市場における立場を乱用し、競合他社を犠牲にしていると批判され続けている。
The Wall Street JournalによるGates氏のビデオインタビューを視聴し、「創造的資本主義」というGates氏の概念について考えてみることをおすすめする。また、The Wall Street Journalの記事も目を通す価値がある。この記事は興味深い情報が満載されていて、Gates氏の本棚にどういった蔵書があるのかちらりと見ることができる。
世界経済フォーラムでの公演のビデオはこちら。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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