広報活動に役立つのなら、企業は慈善事業もできるし、博愛主義的なプロジェクトに取り組む時間を従業員に与えることもできる。たとえば、Intelは奨学金に数百万ドルをつぎ込んでいる。奨学金を受けたなかで、最終的にIntelに入社する学生はわずかしかいない。しかし、奨学金を出すことで、Intelは一流の研究機関とのパイプを太くすることができる。
創造的資本主義は、従業員のモラルと忠誠心を向上させることにもつながりうる。近年、石油会社では新入社員の獲得がきわめて重大な問題になっている。端的に言えば、石油会社はイメージが悪いために、成績優秀者が寄りつかなくなっているのだ。
ShellグループのShell Exploration & Productionで、中東地域の探鉱と産出担当のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるRaoul Restucci氏は2005年、「品位の高い業界だと思ってもらえなければ、人材の獲得も確保もできなくなるだろう」と、あるパネルディスカッションの場で語っていた。
自由と創造性を仕事に組み込むことで、大きな間接的利益がもたさられる可能性がある。それに、利益追求という点をもう一度考えてみても、このようなプロジェクトが最終的に儲けにつながらないと断言することはできない。というのも、高級品の市場が上海やモスクワの買い物客に牽引されるような時代がくるなどと、20年前にはどれほどの人が予想できただろうか。今関係を育てておくことは、役立ちこそすれ損には決してならない。
おそらく、こうしたシステムを受け入れるにあたっていちばんの障害になるのは、うらやむという感情だ。内心では、ほとんどすべての人が、他人の人生を少しでもよくする可能性のあるプロジェクトに取り組みたいと考えているのだと私は思う。それが揺らぐのは、大学のルームメートがフェラーリに乗って訪ねてくるのを見るときだろう。
それでも、あなたはそのルームメートに、マリ共和国に日干しレンガ製の家の分譲区画を建設することについて、話してやることができるのだ。
編集部注:CNET News.comの副編集長であるMichael KanellosとワシントンDC駐在記者であるDeclan McCullaghが、発展途上世界における問題を軽減するためリソースを分配するよう企業に求めているBill Gates氏の訴えについて意見を戦わせている。McCullaghの記事はこちら。
著者紹介
Michael Kanellos
CNET News.comの副編集長。ハードウェア、研究開発分野、新興企業、海外のテクノロジー産業などの分野を幅広くカバーしている。弁護士、旅行作家、タイムシェアリゾートの街頭販売など、さまざまな職業を経験している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」