Cisco Systemsは、消費者の心をつかもうと試みているのかもしれないが、従来からのお得意先である大企業のことを忘れたわけではない。
Ciscoは米国時間1月28日、1994年に投入したイーサネットスイッチ製品ライン「Catalyst」以来の最重要製品となる大企業向けスイッチ製品を発表した。この新製品「Nexus 7000 Series」は、IPルーティング、イーサネットスイッチング、セキュリティ、ストレージといった機能を1つのハードウェアとソフトウェアのプラットフォームに統合したモジュール製品だ。数年はおろか数十年の製品寿命が見込まれているNexus 7000は、より効率的な新しいデータセンターを構築する大企業をCiscoの技術で支援するという同社の戦略において、中心的な役割を果たすことになるだろう。
Ciscoは20年以上前から、ネットワークインフラを大小さまざまな規模の企業に提供している。この数年間は、IPルータとイーサネットスイッチの市場で80%のシェアを誇っており、ほぼすべての時期で競合他社を圧倒している。だが同社は、年間の売上増額の目標を毎年500億ドル以上に設定しているため、新しい市場を見つけて成長をてこ入れする必要があり、実際そうしてきた。Ciscoはサービスプロバイダー事業を拡大するとともに、家電などの複数の市場に大胆に新規参入してきた。
しかし、Ciscoの売り上げの50%以上を占めているのは、今でも大企業向け市場だ。また、Ciscoが長年享受してきたルータとスイッチの売り上げが勢いを失うかもしれない、と警告する業界専門家もいる。すでに独占状態にある事業を成長させるという難題に加え、Ciscoが販売するネットワーク機器がコモディティ化し、他社がうらやむほどの利益率が価格の低下にむしばまれる可能性があるのだ。
一方で、大きな変革の時期に差しかかっているデータセンターは、Ciscoにとって、イーサネットスイッチ事業と同じ規模にまで拡大する可能性を秘めた市場に参入するチャンスだ。だが、これを成功させるには、Ciscoは企業のITマネージャーを説得してネットワーク中心の新しいアプローチでデータセンターを構築させる必要があるが、この動きは、同社の最大手の提携先の一部と競合する可能性が高い。
「大企業がCiscoのドル箱なのだ」と、Yankee Group ResearchのシニアバイスプレジデントZeus Kerravala氏は語る。「それがあるからこそ、彼らは消費者向け市場への参入などの取り組みができる。だが、将来の成長を推進するためには、Ciscoは大企業向けの中でも新しい市場を見つける必要がある。そうした事情から目をつけたのが、データセンタというわけだ」
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