「Googleで最大のインテリジェンスシステムは、『AdSense』とGmailのスパム対策システムに組み込まれている。しかし、私はこれまでずっと、自分たちの研究を医薬とバイオロジーに応用することを強く望んできたが、一企業に身を置いてそれに取り組むのはかなり難しい」とHarik氏は述べ、開発したソフトウェアはオープンソースとし、医学にかかわる誰もが利用できるようにするつもりだと付け加えた。Harik氏によれば、この非営利の研究所はGoogleからも出資を受けているという。
Scott Hassan氏。Google初期のアーキテクトで、現在はロボット工学の発展と応用に尽力する
1996年、スタンフォード大学でコンピュータ科学を専攻する博士課程の学生だったHassan氏は、Page氏とBrin氏と偶然知り合いになった。Page氏とBrin氏はそのころ、全米科学財団の助成金を受けたプロジェクト「Stanford Integrated Digital Library Project」に取り組んでいた。2人はまた、Googleの前身となるシステムを開発する別のプロジェクトにも取り組んでいた。Hassan氏はコード記述でPage氏を手助けした。そのため、Hassan氏がのちにeGroupsを立ち上げたとき、Page氏とBrin氏は謝礼として相当数の株式をHassan氏に譲渡したのだ(eGroupsは2000年にYahooから4億1200万ドルで買収された)。
一説によると、Hassan氏はGoogleの株を1%近く保有しているという。これは、初期に譲り受けた株に加え、のちに同氏が多額の投資をしたNeotonicという企業をGoogleが2003年に買収したことによって得たものだ。Google株を大量に保有するHassan氏の資産は、数億ドル、あるいは10億ドル以上に達する可能性もある。
Hassan氏は現在、パロアルトの豪邸で、妻子と静かに暮らしている。同氏が管理している個人用ウェブサイト(パスワードで保護されている)には、評伝を書こうと思っている人物のリストがあり、Page氏やBrin氏の名も挙がっている。そのほか、映画の鑑賞記録や詩なども書いている。Hassan氏は現在、1年前に設立したロボット工学シンクタンクのベンチャー、Willow Garageに取り組んでおり、取材依頼に返答したメールの中で、このベンチャーのこと以外については話したくないと述べた。
カリフォルニア州メンローパークに本拠を置くWillow Garageは、手っ取り早く稼ごうという野心がない点で、シリコンバレーでも珍しい存在だ。利潤追求より優先されるミッションは、Willow Garageをロボット開発のハブに育てて、障害者介助や自律航行船舶、無人自動車といった分野での開発をつなぐ中心的存在として貢献することだ。そして、全米から人材と提携先を引きつけることができたら、という願いもある。同社は、ロボット工学の分野でスタンフォード大学と共同作業に取り組んでおり、同校のコンピュータサイエンス研究室に85万ドルを寄付した。Hassan氏の資産のおかげで、Willow Garageは時間を気にせず新たなロボット市場を開拓できる。
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