1000万ドルか1億ドルの大金があれば、あなたならどうするだろう。引退するか、それとも、自分を金持ちにしてくれた会社に毎日出勤するだろうか。あるいは、別の夢を追いかける?
それが、Google初期に在籍し株長者となった多数の元従業員にとっての問題だ。Googleが新規株式公開(IPO)を行った2004年8月には、900人を超える従業員がにわかに大金持ちになり、彼らの資産総額はGoogle株の急騰とともに膨れ上がった可能性が高い。IPO時に85ドルだったGoogle株は、米国時間1月18日の終値で600ドル25セントを付け、600%以上の上昇率となっている。
Googleが最近提出した米証券取引委員会(SEC)への報告書によると、同社の従業員は2007年9月30日時点で1166万2917株の発行済株式のストックオプションを保有している。現在の株価で計算すると、これは約44億8000万ドルに相当する。また、企業幹部の報酬を調査するEquilarの分析によると、Google創業者2名が保有する株の評価額はそれぞれ、Larry Page氏が約188億5000万ドル、Sergey Brin氏が約185億1000万ドルになるという。
だが、銀行口座の預金額がいっぱいになると、初期の従業員の多くは会社を去った。推定によると、創業時にいた従業員の3分の1近い500人が退職し、IPOを行う前から働いていた従業員約2200人のうちさらに多くがストックオプション確定時に退社を計画しているという(Googleの関係者にコメントを求めたが、回答はなかった)。
Googleの元従業員のなかには、夏を追いかけるように世界中を転々としたり、家庭を築いたり、ただ単に朝寝坊したりしている人もいる。また、美術を教えたり、法律学校に通ったり、本を執筆したり、政治家のために遊説したりしている人もいる。だが、それ以外にも、富を築いた人のなかには、こうしたことをすべて行っている人もいる。たとえば、Googleの国際セールスプロフェッショナルサービス部門を率いたOlana Hirsch Khan氏は、現在、途上国の小規模企業をマイクロファイナンスで支援するサイト「Kiva.org」(Bill Clinton前大統領が最近の著書「Giving」の中で宣伝している)の最高業務責任者(COO)を務めている。Khan氏はまた、自身の慈善事業にも取り組むほか、つい最近、赤ちゃんを授かっている。
ほかの多くの「Xooglers」(ex-Googlersを縮めた造語で、あるGoogle元従業員向けサイトで使われている)は、シリコンバレーの最新の起業家や、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタリストなどになっている。彼らは、大金持ちになったら自分の会社を設立するという、NetscapeやPayPalといった技術企業の長い伝統に従っている。結局のところ、これがいつものシリコンバレー流であり、Gordon Moore氏とRobert Noyce氏がFairchild Semiconductorを去って1968年にチップメーカーのIntelを創業したころから続く伝統だ。
たとえば、マイクロメッセージングサービスを手がけるTwitterは、元Google従業員が共同で設立した企業で、他の元Google従業員たちからも資金調達している。また、Googleの元セールスマネージャーで、現在ベンチャーキャピタリストとして活躍するAydin Senkut氏は、他の元Google従業員らと共同で、サンフランシスコ市のWi-Fi網構築を手がけるMeraki Networksに投資している。
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