シャープと東芝は12月21日、液晶、半導体分野において提携し、協力関係を築いていくことを発表。それに伴い、東芝代表執行役の西田社長、シャープ代表取締役の片山社長出席のもと、共同記者会見が行われた。
今回の提携は、2010年度にシャープは東芝から液晶テレビ用システムLSIを約50%、東芝はシャープから32型以上のテレビ用液晶モジュールを約40%購入するというもの。この数値を目標に来年度から相互供給を拡大させていく。シャープの液晶パネル、東芝のLSIと両社のコアテクノロジーを相互に活用し、競争力をアップさせることが狙いだ。
現在東芝は、松下電器、日立製作所とともに液晶パネル会社「IPSアルファテクノロジー」への出資を行っているが、今回の提携を受け、この出資分は売却する方向で検討中としている。またOCBパネルなどを有する「東芝松下ディスプレイテクノロジー」への出資に変更はない。
東芝の西田社長は「シャープの液晶事業は、34年に渡る長い歴史に裏打ちされたノウハウと国内最大規模の生産能力を有している。特に低消費電力、長寿命といった環境性能面においての完成度は高く、薄型テレビの次世代デバイスはシャープの液晶パネルと考えている。今回の提携により、自信を持って世界で戦える条件が揃った」と話した。
また2009年度に商品化を想定していた大型の有機ELテレビに関しては、「シャープの液晶パネルは有機ELよりはるかに優れており、32型以上のテレビに関しては液晶を採用し、大型有機ELテレビへの商品化は見送る」ことを明らかにした。
一方、シャープの片山社長は「当社では2010年の3月より、大阪府堺市に新工場を稼働させ、需要に対応するとともに外販に力を入れていきたいと考えている。
液晶テレビの積極展開を考えているが、そのためにLSIは必要不可欠なデバイスであり、研究開発には巨額な投資が必要となる。東芝は世界有数の半導体メーカーであり、ブラウン管時代から高い技術力で高画質のLSIを提供してきた。高機能、高性能が求められる時代に、東芝からLSIを安定供給されることは、液晶テレビの競争力が確保できる」と語った。
今回の提携により注目の集まる東芝の薄型テレビの今後については、「中・小型に関して、引き続き有機EL研究開発を行っていく」とし、次世代ディスプレイの急先鋒と見られていたSEDに関しては「今回の提携とは全く関係ない。SEDに関してのコメントは控える」と話した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス