2007年10月にサンフランシスコで開催されたイベントWeb 2.0 Summit。そこでのハイライトのひとつは「セマンティックアプリケーション」が一勢力として出現したことだ。ここでは、必ずしもその意味をTim Berners-LeeのW3Cが率いるRDFやOWL、その他のメタデータ標準などを掲げる技術への取り組みに限定していない。セマンティックアプリケーションはそれらの技術を使う場合もあるが、常にそうとは限らない。これは、後述するセマンティックアプリケーションFreebaseの開発者Danny Hillis氏が指摘した論点だ(同氏はBerners-Lee氏と同じくらいに技術界では知られた人である)。
この記事の目的は、10のセマンティックアプリケーションを紹介することだ。これを「トップ10」などと大げさに言うつもりはない。現時点ではこれらのアプリケーションに順位を付ける方法などない―多くはまだプライベートベータなどの非公開の状態にあるアプリケーションだ。これは、Hillis氏やSpivack氏のような人々が何年もの間彼らのアプリケーションに取り組んでいるにもかかわらずいまだに発生期にあるこの分野の状況を反映しているものだ。
まずは「セマンティックアプリケーション」を定義しよう。かぎとなる要素は、以下に挙げるアプリケーションはすべてテキストやその他のデータの意味を判断し、そこからユーザーのために繋がりを作ろうとしていることだ。例えばTwineの創業者のひとりNova Spivack氏は、Web 2.0 Summitで、データの持ち運び可能性と接続性がこれらの新しいセマンティックアプリケーションのかぎだと述べている―例えばウェブをプラットフォームとして使って。
2007年9月に、Alex Iskoldがこの話題について「Top-Down:New Approach to the Semantic Web」と題した素晴らしい入門記事を書いている。その記事では、Alex Iskoldはセマンティックアプリケーションには主に2つのアプローチがあると説明している。
セマンティックアプリケーションについてわかったところで、現在の主要な(あるいは期待度の高い)製品を見ていこう。
創業者のDanny Hillis氏のWeb 2.0 Summitでの発言によれば、Freebaseは「サイロに格納されたたくさんのデータとそのデータ間にある閉鎖的な繋がりを開放する」ことを狙っている。Freebaseはあらゆる種類のデータからなるデータベースとAPIで構成される。データベースはオープンなので、だれでもFreebaseに新しいデータを入れることができる。Freebase dbの見本のページは、Wikipediaのページにかなり似ている。ユーザーが新しいデータを入力すると、アプリケーションがコンテンツについて提案をしてくることもある。Freebaseのトピックは種類別に整理されており、ページ間をリンクとセマンティックタグで繋ぐことができる。一言でいえば、Freebaseは共有データと、共有データでできることをすべて内包している。
Powersetは自然言語検索エンジンだ。このシステムはここ数年でようやく可能になったセマンティック技術に依存している。Powersetはセマンティックデータベースを作るのに役立つ「セマンティック接続」を作ることができる。これは、Powersetが自動的に意味と知識を引き出すというアイデアだ。まだ一般公開されていないが、2007年に広く知られるようになった。
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