GoogleによるDoubleClickの合併計画では、独占禁止にかかわる規制当局が、合併によって両社が新たな市場へ進出すると判断するかどうかという点について、欧州における調査のほうが米国でのものより厳しいようだ。
欧州委員会(EC)は現地時間11月13日、Googleの合併案についてより綿密な「第2段階」へと調査を進めることを発表した。ECは、独占禁止法違反の可能性のある合併を調べる際、現在の市場および将来の市場という、2つの線で調査を実施する傾向がある。これに対して、米国の独禁法取締官が行う調査はもっと限定的だ。
ということはつまり、Googleによる総額31億ドルの買収計画が、米国での独占禁止法違反調査については通過する見込みだとしても、欧州でははるかに手強い状況に直面するということだ。
「私が目を通したものによると、Googleの合併案が独占禁止法にかかわる米国の規制当局にとって大きな懸案事項となることはないだろう」と、ペンシルベニア州立大学ディキンソン・ロースクール教授で独占禁止法を専門とするBeth Farmer氏は述べている。「個人的な意見だが、この買収を、競合する企業の水平的合併と見なす人はいないと思われるので、米国は合併案の通過を認めると思う」
しかし欧州では、合併提案は概して2つのタイプに分類される。1つ目のタイプは、併存可能な異なる事業を展開する2社が合併によって新しい市場への参入を試みる非水平的な合併で、かつてのAmerica OnlineがTime Warnerを買収した場合がこれにあたる。もう一方のタイプが水平的合併で、ほとんど同一の事業を行う2つの企業が合併によってより大きな市場シェアの獲得を目指すものだ。OracleによるPeopleSoftの買収がこれにあたる。
米国の独占禁止規制当局では、主に水平的合併のみを規制の対象にしており、この30年間、米国で裁判所の裁定にまで持ち込まれた非水平的合併は1件もない。しかし、欧州ではそうではない。
GoogleとDoubleClickはともに広告事業を展開している。Googleはオンライン広告プログラム「Google AdSense」で、同社のパブリッシャーネットワーク内の各サイトに広告を提供しており、一方DoubleClickはパブリッシャー、広告主、企業顧客向けに広告と広告管理プラットフォーム「DART」を提供している。しかし、Googleは検索キーワードおよびウェブサイトの内容に基づいて表示されるテキスト形式のペイパークリック広告を扱っており、DoubleClickの場合はサイトに設置されるバナー広告という違いがある。
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